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【短編小説】小さくて大きくて・歌詞風オリジナル

あなたが柔らかく笑うと

冬でもほわっとあったかくなって

ふんわりと包み込んでくれていた



目を向ければいつでもそこにいて

なんにもいわずに抱きついても

すぐにぎゅっと抱きしめてくれたね



大きな手じゃなくてごめんって

いつか言われたっけ

私の方が大きいからって

少し悲しそうにしてた


でもね、そんなあなたの手がいいの

他の誰でもだめ

少し小さいあなたの手じゃなきゃ


きゅってにぎるとね

指がキレイに重なって

やさしいあなたの

心に触れたみたいになるの


きゅってにぎるとね

ふふってお日さまみたいな笑顔

私の心まで

毛布でぐるぐるまきにされちゃった




玄関のトレーの上に

置いてある少し小さな手袋

置いてかれて寂しそうにしてる


シンクにふせられてるマグカップ

大きくない?って聞いた時

丁度良いよって顔が真っ赤だった


手は君より大きくないけどさ

真剣な顔で

心は大きいつもりだから

いつでも抱きしめるよ


ううん、わかってる大丈夫

あなたの手も心も

とっても大きいってとっくに知ってたから


きゅってにぎってた

あなたとの毎朝の約束

喧嘩した朝でも

悔しいけどすぐ笑顔になった


きゅってにぎってた

あの日の朝だっていつもと同じ

違ってたのは

いつまでたっても開かないドアだけ



まだ覚えてる

手のあたたかさを

まだ覚えてる

心の大きさを


いつまで覚えてられる?

あなたのやさしいぬくもりを


きゅってにぎっても

冷たいままかたいままの指先

やさしいあなたの

大きな心はもう動かない


それでも


きゅってにぎっててもいいかな

大丈夫忘れないよ

だってあなたはいつも私にくれた

小さな手と大きな心で私を包んでくれた





小説を書く力になります、ありがとうございます!トイ達を気に入ってくださると嬉しいです✨