最低限を完璧に

この世には2種類の人間がいる。身を粉にして努力し続ける人と、最低限の努力だけしてサボる人だ。

私の周りはなぜか前者ばかりだ。真面目な彼女を例に挙げよう。国家試験に向けて食事にも風呂にも参考書を持ち込んで四六時中勉強に勤しんでいたらしい。見上げ過ぎて首を痛めそうだ。模擬試験にはわざわざ1人だけ本番を模したスケジュールで3時間余分に座り解くという徹底ぶり。彼女は国家試験の後、勉強から解放された事をそれはそれは大層喜び、そのまま財布の中身も確認せず回らない寿司屋にでも飛び込んで行きそうなほどだった。

そんな彼女を尻目に私は留学するならどこが良いか熟考していた。計画をミスって国家試験の1週間前には予想問題集を解き終わってしまい、暇してYouTubeを見たせいで留学したくて堪らなくなってしまったのだ。試験勉強そっちのけで1日中英語の勉強をしショーシャンクを観、寝る前に思い出したように試験の要点まとめを見返す。国家試験の優先順位は3番目に都落ち。ちなみに2番目は筋トレ。やることやっとけば落ちるはず無い、とたかを括っていた。

結果、両者とも合格。

国家試験の為に生きていた彼女は只今絶賛燃え尽き症候群真っ只中。何をそんなに怖がっているのだろう。何に追われているのだろう。そういう性格なのだろうか。合格ラインを超えれば合格なのだから、超えたところで努力は止めてしまえばいいのに。もちろんエビングハウスに対抗するべく維持作業は必要なのだが、サボるにはそれが1番だ。

他の友人達も、真面目な彼女と大差ない考えの持ち主。米粒みたいな文字の擦り切れた参考書を見返していたり、今までの講義動画を再視聴していたり。今年は諦める、と試験日の半年前に先送りを決意した子もいた。嘘だろ、こんなの2週間ありゃ余裕じゃないか、私より遥かに成績良いくせに戯けたことを。...合格した今だから言えるんだけど。

友人5人の平均が自分。真面目で努力家な5人の平均が不真面目なサボり魔、なんて申し訳が立たない。

今までのらりくらりと生きてきたせいで何に対しても本気になり切れないと言うのは弱点だろう。器用なせいで大抵のことはこなせてしまう。メリットでもありデメリットでもある。いつかそんなルグズナムばりに甘い考えをぶち壊すような障害にぶち当たるのだろうか。来るなら早めに来てくれ、アラサーになってからはごめんだ。そんな障害を求めて留学に恋焦がれているのかも知れない。

最低限を完璧に。
私の努力するに当たってのモットーだ。
これに勝るものは無い、今のところは。

あーあ、留学したい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?