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よく寝る薬

子曰く、過ちて改めざる、是を過ちと謂う

論語

 頭痛がひどかったので、脳神経外科に行った。
 幸い、卒中や梗塞では無かった。
 痛みには偏頭痛という名前がついた。

 非常にストレスのかかっていた時だったので、「原因は気苦労です多分」などと話をした。このところ寝た気がしないんですよ。
 というわけで、頭痛を抑える薬と、頭痛の原因となる脳の興奮(このフレーズのパワフルさよ!)を抑える薬、不眠に効く薬が出た。


 睡眠に作用する薬なんて、10年以上飲んでいない。
 そういえば、その頃と考えがだいぶ変わったことに気がついた。

 当時は心身ともに弱っていて、体調と身の回りの状況に流される日々だった。薬を飲んで体調が良くなる実感は無かった。
 そして自分の至らなさ・能力のなさを補填するには、たとえ睡眠時間を削っても勉強、仕事をしなければと思っていた。
 眠らせる薬を飲みながらそんな生活を続けていたから、いよいよ具合が悪くなった。

 「嫌なことでも頑張れば報われる」っていう言葉を勘違いしていた。
 「”目標を遂げるために必要なことは”、嫌なことでも頑張れば」である。
 目標がないのに頑張ったところで、自分で「できた」ことに気づくはずがない。
 第三者が評価することで気づくことができるかもしれないが、その第三者がいるのか、いたとして自分にポジティブな反応をするかはわからない。


 起きているうちにやれることをして、ちゃんと寝る。嫌なことは嫌といって、お腹が空いたら食べたいものを食べる。 
 そんなふうに、自分の身体を労っていたら、もっと楽しく生きている時間が長かっただろうになあ。
 人に気に入ってもらうのが生きる道だと勘違いして、酷い目にあった。

 そうはいっても、「生き方」だって一度やってみないとわからない。
 ただ、一度やってダメだと思ったら、2度はしないようにしていきたい。


 現在は、眠れないこととその対処についてはこんな感じに捉えている。

・最近あんまり寝た気がしない
・日中、眠さが邪魔をして判断ができなくて困る
・夜よく眠れないから、朝起きられない
・夜は薬を飲むことで睡眠を取り、体を休めて翌日は動けるようにする

・薬の効果は私を眠らせるだけである。
・寝られない本当の原因に対処するための体力を温存するために薬を飲む

 薬の効果は限定的であることに納得して飲んでいるし、体調を良くするのは自分の役割であると思っている。
 何がどうなったらいいか、そのためにはどうすればいいか、考えるようになったというのが一番大きな変化だろうか。

 薬に全人生を改善する効果なんてないのに、そう思い込んでいた時期もあった。思い出となってよかった。


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