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線香花火で切ない思いをした話。

以前「昔の恋がモチベーションになってる話」に書いた人の話で、忘れられないことがある。
大したことではないのだけど、いつも夏になると思い出す。

お付き合いしてすぐだったかな?お付き合いする前だったかな?
二人で花火をした。
どちらが言い出したかはもう忘れたけど、線香花火が最後まで落ちなかったら願いが叶うらしいという話になった。
二人でそれはもう真剣に落とさないように取り組んだ。多分。
少なくともわたしは大真面目に願い事をしながら、
今までこんなに見たことがないくらい線香花火を凝視した。
そして、最後まで落とさず成功した。
彼も最後まで落とさなかった気がする。
何を願ったかはお互いに話さなかった。

そして次の年の夏、友人たちと花火をしていた。
すでにお別れしていたけど、そこに彼もいた。
また誰が言い出したか忘れたけど、線香花火の願い事の話になった。
願い事は叶った?と誰かが聞いた。
わたしと彼がほぼ同時に正反対のことを言った。
本当に映画のワンシーンのようだった気がする。
わたしの勘違いかもしれないけど、お互いに思い出したんだと思う。
二人して無言になった。

わたしの願いは叶わなかった。
「彼と長く付き合えますように」って
なんて乙女で欲張りな願い事なんだろう。
あっという間にお別れしたのに。

彼の願い事がなんだったのかは知らない。
気になるけど、知らない方がいいこともあると思う。

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