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土鍋でご飯を炊く (2)まずは鍋で炊いてみる

土鍋でご飯を炊くのは、実はそれほど難しくない。


・お米を研いで30分以上浸水させる(炊飯器と同じ)
・着火して最強火に
・沸騰したら弱火にして10~15分加熱(鍋によって少し違う)
・10分蒸らす


 以上である。炊飯器だと「炊飯」ボタンを押せば最後までやってくれるが、土鍋の場合、「沸騰後に弱火にする」と「蒸らし終わった後に火を消す」の二つの手間をプラスするだけである。

 いやいや、そんなの面倒じゃん、という人もいるかもしれない。たったふた手間で美味しいご飯が食べられるならなんでもない、という人もいると思う。人それぞれだと思う。もし少しでも興味があるなら、ぜひ一度トライしてみてほしい。たぶん、1回目はうまくいかないかもしれない。2回続けて失敗するかもしれない。でもたぶん3回目は成功する。2回の失敗で、一生おいしいご飯を自分で炊くことができるならそれもありじゃないか。私はそう思う。まずはやってみよう。

フライパンでも炊ける

 鍋は、炊飯用の土鍋が一番簡単だ。だが、極論すれば、蓋ができる鍋ならなんでも炊ける。蓋ができるのならフライパンでもいける。難しいかどうかは、形や用途というより「じんわり熱を保持できるかどうか」にかかっている。炊飯用の土鍋はかなり分厚い。沸点に達するまでに時間はかかるが、その後はじんわりと全体に熱を伝えてくれる。「ル・クルーゼ」など厚手の鉄鍋もほぼ同じ機能がある。重い蓋がぴったり閉まるので、圧力鍋的な効果もある。

 鍋物用の土鍋は、案外薄くて「じんわり」効果はやや弱い。蓋の隙間から蒸気が漏れやすいので、蒸らし効果もやや劣る。

 そして普通の鍋は、どうしても全体に熱が伝わりにくい。途中で何度かかき混ぜるなどして全体を均一にしないといけない。また、温度が下がるのも早いので、一気に弱火にすると炊けている部分と芯が残る部分ができてしまう。徐々に火を弱めたり、蒸らしの間も弱火を維持するなど細かく温度調整をする必要がある(それも楽しいといえば楽しいのだが)。

簡単難しい

 なので、とりあえず手持ちの鍋で炊飯をしてみるなら、「厚手の鉄鍋」もしくは「鍋物用の土鍋」がいいと思う。お鍋のナベでご飯炊いていいの?というちょっとした違和感も、上手く炊けたときは逆に心地よい笑

「蓋を開けてはならぬ」の呪縛

 炊飯用の土鍋でないのなら、炊きムラを防ぐために沸騰時に1回は全体をかき混ぜたほうがいい。普通の鍋なら、沸騰する前にも混ぜたほうがいい。「え、炊飯って蓋開けちゃいけないんじゃないの?」と思う人もいるかもしれない。それは「赤子泣いても蓋とるな」のフレーズの呪縛である。この言葉は、「蒸らしの蒸気を逃してはいけませんよ」という教えなので、蒸らし前なら開けても全然構わないのである。実際、蒸らすまでずっとフルオープンで炊くという流派の人もいる(水分が飛ぶ分は計算しないといけないが)。「炊飯中は決して蓋を開けてはならぬ」という固定観念のようなものが世の中にはあって、それが土鍋炊飯を難しく思わせている面もあるのだ。繰り返し言う。蒸らす前なら蓋を開けても中を混ぜても全然大丈夫なのだ。

焦げが怖いなら、水の量を1.5倍〜2倍ぐらいに

 「鍋で炊飯って、焦げるの怖いじゃん」という人も多いと思う。結論からいうと、焦げる。特に最初はほぼ必ず焦がしてしまうと言ってもいい。いいのか、いいのだ。「焦げ」は失敗ではない。ともかく「炊飯と焦げ」はそれだけで記事1本書ける。とりあえずここでは2つだけ言うと

・焦げた場合は、焦げ部分を残して鍋が冷めるまで待つ。鍋底にこびりついている焦げも、冷めると不思議とペロリとはがれる。
・どうしても焦げが怖いなら、水の量を1.5倍〜2倍ぐらいにする。

 「水を米の倍も入れたらお粥になっちゃうんじゃないの?」って思うかもしれないが、ご心配なく。超柔らかいご飯になるだけだ。ちなみにお粥を作るときの水の量は米の5倍〜20倍。2倍ぐらいでは全然お粥にならない。まずは柔らかご飯で試してみて、徐々に水分量を減らしていくのもいいかもしれない。

土鍋でご飯を炊く (1)私が炊飯器を捨てた理由



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