通院とは、時間をつくることだけではなかった
私が抱いていた、通院に対するイメージと
実際に通院してみて感じたことについてです!
●通院に対する誤った概念
通院が必要な人を支えている方、
通院について、想像してみてください。
・週2日 通院
・1回あたり、1時間程度
・19時最終受付
この条件を聞いて
どのような印象を受けますか。
不妊治療を始める前、私はこの条件をきいて
「残業しなければ間に合う!」
「週に2回なら負担なく通えそう!」
「1時間で終わるなら、帰りにスーパーよって
今まで通り夕飯もつくれそう!」
と思いました。
でも、違うのです。
私は「時間さえ作れば 通院ができる」
と思っていました。
仕事帰りに1時間、スポーツジムに通うのと
同じ感覚で捉えていて
精神的負担を見逃していたのです。
●通院のある1日
職場に不妊治療を打ち明けていなかった私の場合
朝起きて、洗濯・掃除を済ませる
↓
仕事終わりでクリニックに行くため
帰宅後に備えて、夕飯の下準備をする
↓
<出勤>
残業にならないよう、3倍速で仕事をする
急な対応が入らないことを全力で祈る
↓
<退勤>
定時と同時に会社を飛び出す
↓
駅から走ってクリニックへ
最終受付に滑り込む
ここまでは、想定内◎
問題はここから。
↓
<採血・注射>
1日働いて、走って
疲れているのに筋肉注射される。痛い。
↓
<診察>
「うーん、、ダメですね」
自分の体の悪いところを容赦なく指摘される
↓
<帰りにスーパーへ>
疲れたし、診察結果も悪かったし
いつもより荷物が重く感じる
↓
<帰宅>
休む間もなく、夕飯を作る
疲弊していてはかどらない
↓
<夫、帰宅>
「病院どうだった?」と聞かれる
↓
クリニックで言われたことを伝える
= 自分の体の悪いところを復唱する時間
↓
体も心も疲れ果てて寝る
伝わるでしょうか。
通院=自分の悪いところと向き合う時間
なんです。
生理痛で体調が悪い日も
雨の日も、気分が乗らない日もです。
仕事や家事を調整して、
無理やり時間を作って、走って、お金を払って
「あなたのここがダメですよ」
と言われに行くんです。
(それが妊娠つながる過程だということはわかっているけど)
通院時間は1時間でも
「1時間確保するだけ」ではなく
私の心は半日、影響を受けているのです。
私のストレスは、すぐにたまりました。
これではよくない、続けられない。と思い
ストレス対策をはじめました!
●通院ストレス対策
<自分で工夫できる編>
1.直帰せず、カフェにいく
通院後15分、サンマルクカフェに寄ってチョコクロを食べながら
自分を落ち込ませてあげる
落ち込まない方法は見つからなかったので
落ち込んでいい時間を決めた!
2.夕飯を一品、お惣菜にする
妊活のことを考えて自炊にこだわっていたけど
通院の日は、1品だけスーパーやコンビニのお惣菜を取り入れることに。
ありがちな作戦だけど
自炊を1品減らすだけで、カフェにいく時間ができたし想像以上の効果◎
●通院ストレス対策
<周りに協力してもらう編>
1.普段から定時に帰る
通院していることを上司に伝え、退勤時間を配慮してもらえればベストですが、私は不妊治療のことを話したくありませんでした。
しかし診察内容によっては、その日の診察を逃す=今周期の治療は見送ることになるので、定時退勤は譲れません。
そこで私は「朝は早出残業するけど、絶対に定時に退勤する人」というキャラを確立します。笑
退勤間際に「これ今からできる?」と聞かれたら「明日の9時(始業時間)までに提出でいいですか」と交渉したり、ちょうど結婚したタイミングだったので、「夫が早く帰ってこいってうるさくて」と嘘をついたり..笑
ただこれは、私の職種そして就業時間に融通の利く会社だからこそできたことですね。
2.夫にそのまま伝える
不妊治療のことで、ネガティブになる自分を夫に見せたくなくて
明るく振舞うように心がけていたけど、限界でした
自分の弱みを認めて、夫に打ち明けることは抵抗がありましたが
正直に気持ちを伝えることにしました!
夫に伝えたこと
あのね、情けない話なんだけど
通院日の夜にあなたに情報共有することがとてもつらいのね。
私にとって、その日クリニックで言われたことを伝える= 自分の体の悪いところを復唱する時間で
あなたに伝えているうちに
ああ、やっぱり私ってダメなんだ。今回もダメだったんだ。
と再認識する時間にもなってしまう。
だから週末にケーキでも食べながらリラックスできる環境でまとめて共有するか、診察中に言われたことをノートにメモしているから、それをこっそり見てくれないかな。
●伝えることの大切さと難しさ
夫に自分の気持ちを伝えた時、
私の心境を理解してくれて
「情けなく思うことじゃないよ。通院の日、元気がないな、話したくないのかなって思ってたんだけど、気遣えなくてごめんね。話したくないことを話してくれてありがとう」と受け止めてくれました。
それまで私は
「治療にネガティブにならず、
明るく前向きに取り組んでいるつもり」
だったけど
夫も違和感を感じていたのだと、
この時初めて気づきました。
もし、このタイミングで
私が伝えていなかったら
夫婦の中で
不妊治療の話はいずれ腫れ物扱いになり
いつの間にか、
NG話題になっていったかもしれません。
だから私は
あの時がんばって、
夫に伝えることを諦めなくてよかった
と思いますし
気持ちを受け止めてくれた夫にも
感謝しています。
●支援者の自分は、どうだったか
不妊治療を始める前の私のように
「週2日、1時間の通院」
という条件だけを聞いて
それに伴うストレスまで
想像することは難しいと思います。
私も自分が不妊治療を始めるまで
通院をしている方に支援をしている時、
ここまで想像できていなかったな。
と反省しました。
「今日も午前中通院してきたんですよ」
と話してくれても
「暑い中大変でしたね!」
「土曜日で待ち時間も長かったですよね。」
くらいの想像にとどまり
それを何年間も、毎週続けているつらさを
自分が経験するまで想像できなかったし
「通院の1時間」を労うことしか
できていませんでした。
当事者がこういった
理解されない苦悩を話すと
その辛さを理解してもらいたいなら、
言えばいいじゃない?
理解されたいなら、
人にわかりやすく伝える努力もしないと。
という意見を
言われがちなのですが
当事者目線(通院をしている人)でいうと
「通院をすること」
自体のつらさもあるけど
それ以上に
「つらいと感じている自分を認めて、
その理由を分析して、
わかりやすく言語化して、人に伝えること」
ってなかなか疲弊するのです。
そして、段々
人に伝えること・理解してもらうことを
諦めてしまいます。
私は支援者として
「今日も午前中通院してきたんですよ」
と当事者が話してくれた時、
もっと心に寄り添ったり
想像が足りない部分は調べたり
本人に質問をしたり
そもそもなぜ
通院したことを報告してくれたのか
なにか話したいことがあったのか。
そこまで想像して
支援ができればよかった。
それが反省。
そしてこれからは
より当事者目線の支援をしたい。
当事者を経験した私には
そういった支援ができると思った。
さいごに、当事者の方々。
辛い経験と向き合い、要因分析し
言語化して、さらけ出すこと、発信すること
それでも理解されないこと
批判されることもあり、苦悩があると思います。
私は支援者として
自分の想像が足りない分を
声をあげてくださった方の意見を知ることで
補っています。
自分の辛い経験なんて
わざわざ文字に起こして
不特定多数の人に知られたくないですよね。
それでも広めよう、変えよう
知ってもらおうとしてくださり、本当にありがとうございます。
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