024_指先と毛髪

髪がある。
手指に刺さる毛髪がある。

いつからだろうか。
朝起きると指先に髪の毛が刺さっていることがある。
時には数本刺さっていることもある。

冷蔵庫であったり、ドアノブであったり、
何かを掴む際、じくりと痛みが走って、
指先をみて「またか」と舌打つ。

そんなことがたびたびあった。

ある晩、夢を見た。
気づくと仰向けに寝ている自分を俯瞰している。
すぐに「夢だ」と理解する。明晰夢。

声が聞こえてくる。
ゆっくりと間延びした声。

および
および
かみあぐころに
および
および
もぎするまへに

間延びした声は抑揚の強い歌のようだ。

おーーよぉびー
おーーよぉびー
かーーーみーーーあーーぐーー
こーーーろぉにーーー

眼下の自分を見ると
雛人形みたいなものが肘から
手の先を囲むように10体ほど並んでいる。

目が覚める。
びっしょりと汗をかいている。

手のひらを見る。
人差し指の指先から第二関節まで
等間隔に髪の毛が５本刺さっていた。

「もぎするまへに」

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