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感想「ボクたちはみんな大人になれなかった」

昨年見た映画の中で恐らく1番良かった映画。
これは映画の感想というより私の過去の話と照らし合わせたもの。

音楽、ファッションといったカルチャーが年代毎に垣間見る事のできる映画って本当に好き。
私は小沢健二の事全然知らないけど、それ程に当時神的存在だったんだろうな。

この映画のテーマである「普通」に対して私はここ2、3年ずっと悩んでいたけど、結論から言うと「普通」が最高。
普通を許してくれる人でないと恋人にはなれない。
だから主人公の少し無理してる感じが痛い程共感できる。
センス悪いとか、何でこんな事も知らないのって言葉を昔、元恋人に言われた事がある。
それを未だに思い出して、自分は特別な人間ではないという呪縛にずっと縛られている。
でもずっとそうかもしれない。
前職はライブハウスで制作の仕事をしていた。
音楽が好きだった。
本当は私もステージに立って演奏したいと思っていた。
でも才能がなかった。
というかそれに対して努力できなかった。
だから一歩引きながらも才能がある人達の周りにいる事で自分を保っていたかったのかもしれない。
自分は普通では無いと思いたかった。

表現者にはなれなかったけど仕事にはプライドを持っていたから、その反動で私生活では全然になっていった。
音楽も聴かないし本も読まない。
お酒ばっかり飲んでそれっぽい話に付き合う。

その本物では無い感じを私の元恋人は見破り、次第に離れていった。
別れ話で言われたのは「こんなに普通の人だと思わなかった。」

だから芸術家には憧れるけど恋人にはならない方が良い。
矛盾してる。
世の中矛盾だらけ。

普通と才能の溝に対して恋に行き違いが起きる映画が最近多い気がした。
又吉作の「劇場」も同じ感じだった。
私的にはこっちの方が生々しい。
夢を追ってる人の近くにいるのは苦しい。
好きなのに疎ましく思う気持ち。
才能への嫉妬。
自分がダメになっていく感じ。

これくらい多く映画になる題材なのでよくある話なのか?

本作ではコロナ禍の主人公の孤独にも触れていて、そこにも強く共感した。
一人で飲める店が無くなるのはかなり悲しい。
友達もどんどん疎遠になるしね。

こんな時尚の事、家にはバラエティ番組で一緒に笑い合える恋人がいてくれたらいいなと思う。

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