ピースのかけら じゅうはち
アタシね、かくれんぼしてるの。
みつけてくれるの、ずっとまってるの。
「もーいーよー」っていってるんだけどね、まだみつけてくれないの。
どうしてかなあ。
パパやママがね、おこるの。ほかのおとなのひとたちもね、だめだっていうの。アタシがわるいことしたのかなあ。わからないの。
ほんとうのことをいってるのにね、うそつくなっていうの。うそついてないよ。
なんかいもなんかいもおこるの。そしたらね、かなしくなっちゃった。
アタシがほんとうのこというとね、おとなのひとはおおきなこえだすの。ぶったりはしなかったよ。でもこわかったの。
だからね、アタシかくれんぼすることにしたの。かくれていればおおきなこえでおこられないでしょ?
それでね、おおきくなったアタシにね、ほんとうのこというの。おおきくなったアタシなら、ほんとうのこといってもおこらないでしょ?
おおきくなったアタシにたくさんたくさんほんとうのことおはなしするんだ。そしたらきっとたのしいよね?
かくれんぼはアタシじょうずなの。だからきっとみつからないでかくれてられるとおもうんだ。ひとりでもだいじょうぶ。こわくないよ。だって、パパやママにおこられるのいやだもん。あとね、よくわからないけどね、パパやママはおこったあとかなしいおかおするの。
なんでかなあ。おこられてるのはアタシなのにね? でもね、アタシのせいでパパとママがかなしいおかおするのいやなの。なんでおこっているのにかなしいおかおするのかわからないけど、でもアタシがほんとうのこというからでしょ? パパやママがね、にこにこしてるとよくわからないけどアタシもうれしくなるの。ここらへんがね、ぽかぽかあったかくなるの。アタシはパパやママがにこにこしてるの、すき。
だからね、かくれんぼすることにしたんだ、アタシ。
「もーいーよー」ってね、ずっといってるんだけど、おおきくなったアタシがみつけてくれないの。こえがちいさいのかなあ?
アタシじょうずにかくれられたでしょ?だからみつけられないのかなあ。ずっとここにいるんだけどなあ。
アタシがおおきくなるまではね、「まーだだよー」っていってたんだよ。ちっちゃなこえでね。アタシがおおきくなったのは、かぜさんがおしえてくれたの。もうだいじょうぶだよって。つちさんもいってた。あと、おひさまも。みんながおしえてくれたんだよ。「もーいーよー」っていってだいじょうぶだよって。
そしたらね、アタシすごくうれしくなっちゃって、おおきなこえで「もーいーよー」っていったの。なんかいもいったよ。すっごくおおきなこえで。
でもね、まだおおきなアタシはみつけてくれないの。ここにいるのにね。アタシがここにいるの、わすれちゃったのかな?
みつけてくれたらね、いっぱいいっぱいおはなしするの。ないちゃったことや、こわかったことも。あとね、パパやママはすきだったよっていうんだ。ほんとうはね、みんなすきだったの。だいすき。
もういっかい「もーいーよー」っていってみようかなあ。どっかとおくにいっちゃったのかなあ。
まだみつけてくれないのはちょっとかなしいけどね、でもね、ぜったいみつけてくれるってしってるんだ。だからだいじょうぶ。「もーいーよー」っていっぱいいうよ。「ここだよー」っていってみようかな。そしたらわかるかな。
さっきかぜさんがね、びゅーっておとといっしょにこっそりここのばしょおしえてくるねっていってたよ。だからだいじょうぶ。
おおきくなったアタシだもん。きっとみつけてくれる。どきどきするなあ。
じょうずにかくれんぼできたでしょ?
アタシじょうずだったでしょ? ちゃーんとみつからなかったでしょ?
おおきくなったアタシにあえたらいうの。
まってたよって。
みつけてくれるのずっとずーっとまってたよ、っていうんだ。あえたらうれしくてないちゃうかもしれないなあ。うれしいんだったらないてもいいんだよね? へへへ。
そうだ、あとぜったいいおうってきめてたことあったんだ。
おおきくなったアタシにあったらね、
「みつけてくれてありがとう」っていうんだよ。
たのしみだなあ。
はやくあいたいなあ。
「みーつけたっ」って
はやくきこえるといいなあ。
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