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管理のための管理の失敗


最近だとダイハツで、大きな失敗(リコール)がありました。あの手の話を聞いた人の反応は様々でしょうが、現場を管理する側で、現場にはでない事務方人間は、すぐに管理の強化という手段に出ます。むしろ、そういう方策は失敗の減少にほぼ貢献しなかったり、手間が増えるばかりで誰も得しないことになりがちです。管理のための管理にならないようにするための話を整理してみようと思います。





そもそも失敗の原因とは

人が失敗する原因は3つです。
1、知識不足、技量不足
2、手抜き(仕事や職場への不満と優先順位)
3、うっかりミス、過信や見落とし

1は、知っているかいないかで避けられること。使う道具や物で避けられること。やり方や方法を変えれば上手くいきやすいこと。まとめれば、知識不足が原因の失敗です。

2は、今日の夜七時からデートでどうしても遅刻できないと思っている時、手を抜いて簡略化して作業時間を短縮したり。あるいは、相場よりも安いお金で使われていると思えば、いい加減仕事で手を抜いたり。ぶっきらぼうで愛想が悪い人には、雑な対応になったり。仕事や作業やらに対する価値観の不満が許容範囲ならば誰も手抜きはしません。しかし、それが他のその人の何かの価値観と対立し優先順位をつけなければいけない状況になると、自分の価値観を優先し結果的に本来からずれて、手抜きになります。ダイハツはここですね。不備をどやされ怒られるから、失敗の事実を報告するという正式なものではなくて、怒られたくないにかたむいて手を抜いた(作業をアレンジした)わけてす。

3は、ヒューマンエラーですね。うっかりミスとかたまたまの本来ならしない失敗や思い込みです。ここを避けるにはとにもかくにも確認作業を繰り返し、厳重にして、網の目を作ることで回避できます。





管理のための管理

こういうミスの原因をいっしょくたにして、管理する側は、管理のための管理をし始めやすいです。つまり、マニュアルをつくって守らせようとしたり。全ての作業やなにやらを記録して保存するという手段です。大量の文書や指示書、写真撮影や多くのチェックシート。デジタル保存、ナンバリング管理ですね。それまではいらなかった事務と管理作業がもりもり増加します。

管理する側にしてみれば、一番安直な手だから採用しやすいのかもしれません。上記手法をとれば、しっかり管理していたという記録や方法の記録が残り、体裁を保てます。管理する側の責任追及は避けられます。言い換えるならば、ここまでの管理をしてもミスしたのだから、それは現場の責任だと言っているようなものです。はたまたは、なにか起きたら責任追及もできるからなと脅しのような圧力をかけているだけです。

現場には圧と負担ばかりが結果として増えます。さて、この手法は上記の1から3の失敗の原因を解決するものでしょうか。違いますよね。マニュアルは多少知識が増えるかもしれませんが、それなら的確に必要な分だけ知識を足せばよいわけです。また記録が増えても知識は増えないですし。記録が増えても負担が増えるばかりで、余計に忙しさから手抜きが横行します。極端なケースならば、記録すら改竄されます。むしろミスを増加させかねません。最後のうっかりミスにもあまり効果がありません。うっかりミスが発生しやすい行動傾向や状況においては、うっかりミスしないように行動を付け足す(改善する)ことが有効であり、記録やチェックシートを使うことではありません。例えば、メモをはるとか。指差し確認をするとか。復唱をするとか。ダブルチェックするとかですね。記録ではなく簡単にできる行動を付け足す変化が必要です。




ミスをなくすための本当の管理

本当に失敗やミスをなくしたいのならば、以下の手法が有効です。

1、知識や技術の教育
2、物や方法やシステムやらをやり易く改善
3、社員のストレス低減(価値観の不満解消)
4、失敗を叱責しない文化作り、対話作り
5、改竄できない類の結果の記録管理
6、ミスが起きやすい状況や人ごとの行動改善指導


1は、よくある失敗や失敗事例の共有と、それらを踏まえた失敗しにくい良い方法や道具やら知識の共有です。知らなかったことを知れば失敗は減ります。

2は、会社が扱うシステムや物ややり方を刷新するということですね。失敗しにくいように物ややり方や方法を開発するということです。やり易く見易くわかりやすく、易しくすればするほど失敗は減ります。

3は、各社員がどういうときに手をぬきがちかをよく観察するということです。作業の質、お金、退社時間、気分の浮沈み、休憩時間、人間関係、騒音、臭い等々。よく探して話し合えばいいと思います。もしだったらこれも2の領域の会社のやり方を変えることにつなげ、働きやすくなるかもしれません。

4は、失敗を許すではなく指摘するにとどめる文化にするということです。なぜ失敗したのか、次に失敗しないためにはを本人に考えさせて、実践してもらいましょう。仮に、叱責や怒号やらがあれば、萎縮する人は失敗を隠したり誤魔化そうとします。なおさら被害や損害が拡大してしまいます。感情的な叱責は不要です。

5は、百キロに耐えたいのならば、百キロを載せても壊れていない状態の結果の記録を提出義務化すれば、失敗はなくなります。成功している状態の結果記録だからです。手間が増えるので、本当にその仕事や作業の核になる大事な部分だけに活用すれば良いと思います。あるいは、防犯カメラやGPSやら見張りとしての行動結果の記録も有効でしょう。

6は、ヒューマンエラーしやすい人もしやすい状況も結構人によりまちまちです。その人の癖も関わるからです。みんながしがちなヒューマンエラーなら、それを踏まえて簡単でしやすい確認作業を取り入れます。もし、その人の個人の癖による要素が大きい場合には、その直属の上司やらがミスの傾向を分析して、行動改善にするメモを取れとか。時間をおいてダブルチェックするとか、案を授けてあげましょう。



終わりに

形式的なことが嫌いな方なので、管理のための管理が嫌いです。手間ばかりかかりますし、合理的でもありません。

こんなことをいうとあれかもですが、もっと合理的に言えば、失敗したときの損害がみんなで負担できる保険やらで賄えるのならば、それでいいじゃんと思います。誰がいつ失敗するかわからないわけですし。

言い換えるならば、損害の発生率や金額と労働者の数や負担額がいいところで釣り合うならば、管理系の手間隙増えて増加する賃金コストよりも安くすむと思うので、失敗したらごめんなさい賠償します!ぐらいのラインに下げて、記録の手間隙を大幅に減らしてより生産性や生産活動に向かわせる方が合理的な判断だと思います。

誰もそんなことを言わないのが不思議です。不誠実に思うんでしょうかね?記録や指導をしっかりしてました!と頭を下げるより、迅速に賠償します!の一言の方がスムーズで合理的で余程しっかり責任をとっているきがします。

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