地域をほぐす情報紙「大野ヲ耕スvol.1」を発行しました!
KITENが発行する、地域をほぐす情報紙「大野ヲ耕ス」の第一弾が出来上がりました。
「大野」はKITENの畑がある地域です。「有機栽培をしているコットン畑が、周辺環境にどのような循環を生み出しているのだろうか」という問いから生物多様性調査をはじまったのが昨年(2023年)のこと。
畑の周辺にいる虫たちを調べたことをきっかけに、大野の歴史や産業まで気になり出し、調べていくうちに地域の奥深さを知ることとなりました。
私たちが見て、聞いて、感じたこと。それを伝えたいという気持ちで、地域の新聞のような「大野ヲ耕ス」を発行しました。
大野ヲ耕スができるまで
大野は、いわき市四倉町の山側にある地区です。いちご狩りができる「大野観光いちご園」や、一年中トマト狩り体験ができる「ワンダーファーム」があるエリアといえば、いわきの方ならピンとくるかもしれません。
見渡すかぎりの田んぼと広い空。窓を開けて車を走らせると、気持ちのよい風が流れます。のどかな田園風景ゆえ、私の目にはそれ以外何もないように見えていました。そんな見方がぐるりと回転したのは、自分の足で大野を歩くようになってからです。
KITENの畑でコットンが育つ過程を知り、収穫をさせてもらったり、代表の酒井さんや専門家の先生たちと周辺の生物を調査するうちに、この地域が育んできた豊かさにリスペクトするようになっていきました。
季節を変えて4回行った生物多様性調査では、水辺や森でたくさんの個性豊かな生き物に出会いました。「この調査を大野の皆さんにも知ってもらいたいよね」と、酒井さんと会話をしたことから、環境だけでなく、産業や歴史についても調べてみようという流れも生まれました。
そこで、大野出身で「いわき時空散走」サポーターの松本恵美子さんにお願いし、大野地区を改めて案内いただきながら自転車で巡りました。
「颯サイクル」で自転車をレンタルし、いざ出発。スタート時点では、軽く地域を散走するんだろうなぁというくらいの気持ちでいましたが、かつてトロッコが走っていた廃線跡や鉱山の歴史、滝夜叉姫の伝説など、まるでお宝のようにザックザックと出てくる昔話に驚くばかり……!あまりの情報量に、この日は興奮して眠れなかったほどです。笑
なかでも松本さんのことばが、胸に残りました。
「大野地区の中学校と2つの小学校は廃校になってしまい、いま『大野』と名前のつく公共施設は公民館だけです。このままいけば、『大野』という地域があったことも忘れられてしまうかもしれません」
時の経過とともに町や地域は形を変えていきます。けれど、紡がれてきた営みや記憶、誇りは形を変えることなく次の世代へつながってほしい。私たちの小さな願いを「大野ヲ耕ス」に込めました。
空気を含んだ土壌は、水はけがよくなり作物が豊かに育ちます。だれもが活き活きと根っこを伸ばせる、そんな地域の未来を願って発行した小さな新聞です。表紙は、大野特産品の真っ赤に実ったトマトといちごが描かれています。市内各所に設置していただいていますので、見かけたらぜひ手に取っていただけたらうれしいです。
【設置場所】
・ワンダーファーム
・大野観光いちご園
・大野公民館
・いわき市立いわき総合図書館
・いわき芸術文化交流館アリオス
・いわき湯本温泉「古滝屋」
・Community cafe&pub Roots
・海が見えるカフェ「月見亭」
・kashiwaya シェアハウスと食堂
文責:奥村サヤ
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