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橈骨神経麻痺の病態、処置について

今日は橈骨神経麻痺について書いていきたいと思います

橈骨神経麻痺は、ハネムーン麻痺などの別名があり、腕枕をしてあげた際に翌日腕が上がらなくなっているといったようなイメージが多いと思います

ただ、僕が経験したなかで多かったのは、お酒を飲んで、電車などで棒的な物に寄りかかって寝てしまって、気がついたら手関節が動かなくなっているといったケースが多かったです

みなさんはどうでしょうか?

橈骨神経麻痺が発生した場合には、どんな処置や施術を行えばいいのか書いていきます

橈骨神経麻痺とは


橈骨神経は、腕神経叢後神経束より分枝し、上腕三頭筋に枝を出しながら上腕骨後方から前方へ向かって、螺旋状に橈骨神経溝に沿って下降します

上腕骨の下1/3あたりで橈骨神経浅枝と橈骨神経深枝に分かれる

橈骨神経浅枝は純粋な知覚枝

橈骨神経深枝は運動枝で回外筋を貫通(フローセのアーケード)する

橈骨神経麻痺が起こるポイント

①橈骨神経溝(高位麻痺)

②フローセのアーケード(低位麻痺)

が代表的です

代表的な外傷・症状

①橈骨神経溝(高位麻痺) 

上腕骨骨幹部骨折や圧迫による麻痺 

症状 下垂手

②フローセのアーケード(低位麻痺)

モンテギア骨折

症状 下垂指

橈骨神経麻痺(高位)による機能障害

橈骨神経麻痺の障害としては、下垂手があげられますが、それは手関節、手指の伸展の機能障害を意味しています

問題はこれだけではなくて、手関節、手指が伸展できないということは、手関節掌屈位、手指屈曲位になります

その肢位を取ることで二次的に障害を受けるものもあります

それは浅指屈筋腱、深指屈筋腱です

理由としては、手関節、手指が屈曲位となると浅指屈筋腱、深指屈筋腱は弛緩します

弛緩すると手指を屈曲させるだけの収縮幅が欠如する関係で、浅指屈筋、深指屈筋が使われなくなります

強く握る動作においては、手関節を背屈に固定する必要があります

手関節を屈曲の状態の手指の屈曲はかなりやりづらいのを確かめてもらえればと思います

手関節屈曲の際の手指の屈曲は主に手内筋(虫様筋、骨間筋)で行われますが、手内筋(虫様筋、骨間筋)はMP関節レベルでは屈側に位置していて、PIP関節、DIP関節レベルでは伸筋側に位置しているので、主にMP関節屈曲に働きますがPIP、DIP屈曲には機能しない構造になっています

そして掌屈の状態では、浅指屈筋、深指屈筋が使われないので筋力低下や拘縮が起こりやすいのです

コックアップスプリント

橈骨神経麻痺に対して代表的な装具として、コックアップスプリントがあげられます

コックアップスプリントで手関節を背屈にすることにより、浅指屈筋、深指屈筋の緊張を適度にすることで、手指の屈曲がスムーズになり、浅指屈筋、深指屈筋の筋力低下、拘縮を防ぐこともできます

さらにMP関節も軽度伸展位になることにより手内筋(虫様筋、骨間筋)も効率よく使える関係で屈曲がスムーズになります

コックアップスプリントの効果

①手関節背屈保持

②浅指屈筋、深指屈筋の二次的筋力低下、拘縮防止

橈骨神経麻痺では、論文では3ヶ月程度で回復する例が多いとありますが、その間の拘縮予防も予後に左右すると記載があります

疾患によってどんな二次的障害が起こるのかもチェックしましょう

明日も臨床頑張りましょう

ではまた

参考文献 整形外科運動療法ナビゲーション 上肢 


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