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だって幸せなんだから幸せって言って何がわるい

小学生の頃、女子同士でチョコレートを贈り合うバレンタイン恒例行事「友チョコ」が苦手で苦手で仕方なかった。

当時から料理やお菓子作りの才能がなく、チョコレートの手作り作業自体が苦痛だったってのもあるけど、そもそもチョコレートを贈り合う営み自体に死ぬほど興味が持てなくて、「なぜやりたくもないことを、さもずっと前から楽しみにしてたみたいな顔してやらないといけないんだろう……」って子供心に悩んでた記憶がある。

こういう人、結構多いんじゃないだろうか。

今なら「興味ないからパスで~」って言えるのだ。お茶会や飲み会やちょっとした集まりやイベントの誘いなどなど、どこの誰が相手でも構わず、自分の主観と直感で「興味ない」と思ったらスルーできる。体の良い断り文句を精神削ってひねり出すこともしなくてよくなってきた。冗談っぽく笑って「あ、今回はやめとくわ~気が乗らない!また誘って!」で終えられる。

でも、当時は小学生だったんだよ。小学生女子はきっとこの世で一番シビアだぞ。群れから抜け出すような真似をしたら村八分に遭うし、本音をひた隠しにして「だよね~!」「わかるわかる!」を繰り返していないと明日からハブられる運命。実際、休み時間のたびにトイレへ連れ立っていく友達グループから一人パス宣言したら非国民みたいな扱いを受け続けた。

でも、今は違う。今は大人だ。嫌われるのも一人になるのも相変わらず怖いけど、本音を隠さずに、ある程度自分ファーストで生きるようにしたらむしろ前より生きやすくなった気がする

幸せだと思ったら「幸せだ」と言うし、「行きたくない」と思ったら「今回はパスで」と言うし、面白くなかったら無理に笑わないし、なんかノらなかったらテンション上げない。

自分勝手かもしれないし、ただのマイペースな一人狼かもしれないけど、案外やりやすいよ。思ったより嫌われないし一人にもならないし。共感や同感してくれる人しか周りに残らなくなるから、これってむしろ、自分で自分の生きやすい環境を作り上げてる感覚に近い

あ、本来、「自分の人生を生きる」ってこういうことなんだよな、きっと。

人の目を意識しちゃったり、顔色を窺っちゃったりするのって、結局は「嫌われたくない」「変に思われたくない」「面倒な奴と思われたくない」「場の空気を乱したくない」「穏便に済ませたい」ってことだったりする。

あくまで私の場合だけど、相手の心境を慮って……というよりは、”自分の印象を守りたい”って欲求の方が強かった。優しさや配慮ではなく、ただの傲慢。自分の言いたいことを我慢するのと、自分の意見は意見としてひとまず主張はしておくのと、どっちが”自分勝手”なんだろう?

そう思うようになってから、とりあえず「私はこう思う」って言ってみることに怖さや躊躇がなくなった。

それを受けて相手がどうするかは相手の問題だしね(不快に思うのも好意的に反応するのも、受け取り方は相手に委ねる範囲ってこと。アドラー心理学ですね)。

思ったことを言えずにストレスになっちゃう自分から、少しずつ言いたいことを言える自分になってきたから見えてきたこと。きっと想像以上に、「言いたいことを言えずに苦しんでる人」って多い気がする。

言いたいことを言えない=生きたいように人生を生きられてない

それってつまり、優しい人なんだ。優しすぎる人なんだ。小さい頃から自分よりも周りを優先する癖がついちゃってて、今更抜け出せなくなってる人なんだ。

この癖は、結構厄介。まずは自覚して、「なんとかしなきゃ」と思うところから始まる。本来はどうにかする必要も、ましてや直す必要もないところではあるんだけど、自分の人生を生きたいと思ったら避けては通れないところ。

そういう人を見るたびに、会うたびに、話をするたびに、やきもきする。きっと「やきもき」って言葉が一番ぴったり合う。せっかくこの日本に生まれてきて、やろうと思ったらやりたいことは全部できる環境にいるのに、優しい性格と刷り込まれてきた癖によって、自分で自分を型に押し込んじゃってる。これから新しい型に流れ込もうと思っても、そりゃ一筋縄ではいかないよね。

前にも紹介しましたが、そんな方全員に読んでほしい本があります。

MOTHERHOUSE代表兼デザイナー・山口絵理子さんのエッセイ。

山口さんは他にも「裸でも生きる」シリーズを出している(こちらは2020年10月現在で3作出版されている、笑いあり感動あり涙ありのMOTHERHOUSE創業記である)。

こちらもすっごく読み応えがあるんだけど、「やりたいことを見つけたい」「やりたいことをやる勇気がほしい」という方には上記のエッセイをおすすめしたい。私はもう4-5回くらい読み直して、読むたびにページを折ったり線を引いたりしてるからボロボロだ。

とくに「手足のない少年が、這いつくばりながら水を売っている姿に突き動かされ、MOTHERHOUSE創業を決意した」エピソードは何度読んでも勇気をもらえる。

発展途上国の子どもたち、というキーワードは分かりやすくお涙頂戴モノかもしれないけど、単純に考えて、日本にいる以上”失敗”なんてたかが知れてるし、すべてを成功の種にするのなんて簡単なんだ。心の底からそう思わせてくれる。

だから、まずは常に「自分の内なる声」に集中する練習をしたい。

そして、幸せなら幸せだって、悲しいなら悲しいって、素直に正直に言える人になりたいし、そうで在りたい。

それが、自分の人生を作っていくことだと思うから。



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