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【イワシの冷蔵保存法と食べ方アイディア21】 イワシが100尾あったら何をつくりますか?

全長20cm弱の小さなイワシが100尾ほど届きました。

10尾くらいなら素直に喜びますが、100尾となると箱をあけた瞬間からあせりはじめます。

それはイワシが青背の魚の中でも特に鮮度が落ちやすい魚だから。

おいしく食べるためにはなるべく早く下処理しなくてはいけないのです。

そこで今回は大量のイワシを効率よく、しかもおいしく保存する方法食べ方のアイディアをまとめました。

こんなイワシが3袋

まずは100尾の下処理

まず手をつけるのが内臓の処理。

ここでは真水ではなく塩水を使います。

イワシ全量が入る大きさのボウルを2つ準備します。

そこにたっぷりの塩水(2%)を入れてシンクに置いておきます。

イワシのウロコをひいて包丁で頭とお腹を切り落とし、内臓をお腹に残さないようとりだしてボウルに入れていきます。

作業効率を上げるため洗わずにひたすらボウルにほうりこんでいきます。

すべての内臓をとり出したらつけてあるボウルの塩水で汚れと血合いを落とし、もう1つの塩水がはいったボウルにうつしていきます。

イワシの下処理はこちらをご覧ください。↓ 
【ここだけ見たい】【下処理】マイワシ 頭をおとす〜内臓をとる


包丁で取りきれなかった血合いは指でなぞって
これくらいに


100尾あると最初の1尾から最後の1尾が終わる頃にはだいぶ時間がたってしまいます。

その時に水の中にイワシ浸かっていれば温度も上がらず、直接空気にふれないので酸化しにくい=臭みがでにくくなります。
*注 室温や水温が高い場合は冷蔵庫に入れるか、ボウルに氷や保冷剤をあてるなど水温が上がらないようにします。

これをザルにあげてて水気をきれば下処理の完了。
身は温まっておらず、皮もピカピカなまま。

なんだかんだで、ここまで2時間くらいかかりました

当日食べる分をとりわける 

下処理が終わったらその日に食べる分を取り分けます。

保存はビニール袋で

さて、ここからが今回のテーマ、保存のお話。

内臓を取りのぞいたとはいえ、塩水からあげてそのまま冷蔵庫に入れておくと酸化が進み臭みも出てきます。

大体はここでラップに包んで、冷凍で保存する事が多いと思いますが、生の魚を冷凍すると解凍したときに水分と一緒に魚の旨味も逃げてしまいます

そこで考えたのがビニール袋にイワシと液体を一緒に入れておく方法

袋にイワシと液体を合わせ、空気を抜いて口をしばり冷蔵で保存します。

これならイワシは空気にふれないし、魚が重なり合って下にある身がつぶれる心配もありません。

今回は塩水と醤油の2種類。

塩水保存 

塩水保存は味つけ前の状態のまま保つ保存方法。

ビニール袋に入れたイワシに新しく準備した2%の塩水をヒタヒタに注ぎ、空気を抜いて口をしばります。

2%は海の塩分よりも薄く、イワシにほんのり塩味がつくイメージ

味をつける事が目的ではなく、保存するときにイワシが水っぽくならないためのものです。

塩が入るのは皮側だけなので、この状態で漬けておけば翌日もお刺身として楽しめます

途中で一度塩水を交換すれば翌々日まで生食OK。なめろうやマリネなど味つけして食べれます。

翌々日でも皮目はピカピカ
身もこの通りキレイです

*注1 この記事では水揚げされてから2日後のイワシを使用しています。購入した時点で内臓が溶けていたり、腹骨の下の身の色が変わっているもの次の醤油のつけ汁で保存し加熱調理をおすすめします。
*注2   低塩分のため長期の保存にはむきません。塩水保存は2日以上置かないでください

醤油漬けで下味保存

醤油ベースのつけ汁は塩水に比べて塩分も強く日持ちするため塩水漬けよりも多めに仕込んでおくのがおすすめ。

封を開けなければ冷蔵庫で4日〜5日ほどもちます。
なので、その間に何をつくるか考える余裕も。

塩水同様につけ汁をヒタヒタになるよう注ぎ、袋の中の空気をぬいて口をしばります。

漬け汁の配合は砂糖、酒、醤油、味醂を1:1:1:1
砂糖が溶けるまで火にかけてから冷ましてから使います。

数回に分けて使う場合はあらかじめ袋を分けておくと何回も袋を開けて空気にふれないので衛生的です。

2日間つけたもの
量が多いので尾も切りおとしました

塩水保存同様に生食は翌々日まで。

それ以後は加熱します。

保存したイワシの食べ方アイディア

塩水保存のイワシ

塩水保存したイワシは、ほんのり薄く塩味がついているだけなので生のイワシ同様いろいろな料理に使えます。

1  刺身

水気をふいたイワシを手開きにして皮をむきます。
小骨が気になる場合は、身を斜めに細切りにすると口にあたりが良くなります。

頭側の身をはがして
皮をむいて
細切りにしてお刺身で
炊きたてごはんにたっぷりのせて
しょうゆをまわしかけるのも最高です

手開きの方法はこちらから↓
【ゆっくりさばく】【手開き】マイワシ 腹骨をはずす


2 なめろう

翌々日は、味付けや加熱をして楽しみます。

背開きしたイワシは皮をつけたまま背びれなど口にあたる骨を外し、味噌、酒、生姜、青ねぎを合わせて包丁でたたきます。

そのまま酒の肴にするだけでなく、ごはんにのせてアツアツのお茶をかけてお茶漬けにしても。

青背の魚が苦手だったり食欲がわかないときなどは味噌の量を減らして梅肉と大葉を合わせてもさっぱり香り良く食べることができます。

薬味たっぷりがおいしい

3  なめろうを使った“さんが焼き“と“つくねダネ”

あまったなめろうに片栗粉と酒を合わせ、ごま油をひいたフライパンで両面を焼いたものは房総地方で“さんが焼き“と呼ばれる郷土料理

このタネをフードプロセッサーにかければフワフワなつくねダネになります。
一口サイズにスプーンですくって“揚げ焼きに“したり、昆布だしの汁に落として“つくね汁“にしてみてはいかがでしょうか。

4 酢締め風

酢は魚の生臭みをやわらげてくれる調味料。

甘酢漬けを刻んでかければ簡単な酢締め風にさっぱりと食べれます。

生のおいしさを楽しむなら食べる直前に酢がしみたものがお好みならば全体にからめて30分以上冷蔵庫に置いてから。

今回は、たまたまストックしてあったミョウガタケの酢漬けをきざみ漬け込んでいた甘酢と一緒にかけています。市販の甘酢漬けを使うなら、新生姜がおすすめ。

洋風がお好みであれば玉ねぎのスライスに市販のフレンチドレッシングを合わせたものをからめるだけもで簡単にマリネができます。

さらにオリーブオイルをかけてもおいしい

5  贅沢イワシフライ

たくさんあるのでフライは手開きしたものを二枚重ねに
とがった背びれをとり除いておくと口にあたりません。

身と身を合わせて
保存する場合はパン粉をつけてから冷凍庫へ
大葉をはさんでもおいしい

6  山椒オイル煮

それでも食べきれない場合はオイル煮がおすすめです。

水気をふいてフライパンに並べ、オリーブオイルをヒタヒタまで注ぎ、ストックしてあった実山椒の塩漬けを合わせてじっくり弱火で20〜30分煮ます

オリーブオイル+ニンニク+唐辛子
米油+ニンニク+カレー粉

などお好みの油とスパイスで。

この時はイワシを煮た油できのこを炒めました

オイルにつかったまま空気にふれないよう保存すれば冷蔵庫で一週間は保存OKそれ以上置く場合は冷凍します。
*しっかり味をつけたい場合は保存する際の塩水を3〜4%にしたものにしてください。

普段はフライパンではなく、ボイルOKの袋に詰めてシーラーでパックしたものを70〜80度で20〜30分湯煎したものを保存しています。
これなら1ヶ月冷蔵庫に置いても大丈夫。

使うオイルも少なく、熱の入り方もやわらかいのできれいに仕上がります。

<ほかにもできるこんな食べ方>

7 定番のおいしさ“梅しそ焼き“

手開きしたものを皮を下にして置き、大葉と梅肉をのせて巻きつま楊枝で刺してとめます。ごま油をひいたフライパンで蒸し焼きにします。

 8 一度はやってみたい“めんたい焼き“

手開きしたものに明太子をはさみ魚焼きグリルで焼きます。

9  フライパンで焼くだけの“グリル“

オリーブオイルをひいたフライパンで塩を多めにふったイワシを骨付きのまま並べて両面を焼きます。お皿に盛ったイワシにさらにオリーブオイルをかけて、レモンをしぼればできあがり。

余ったら身をほぐして保存容器に入れてオイルをヒタヒタに注いでおけば即席のオイル漬けに。

レモンの輪切りやハーブ、ニンニクなどお好みで入れてください

パスタやワインのつまみにすれば残り物感なく食べられます。

10  フライパンで焼くだけの“パン粉焼き“

フライパンにオリーブオイルとニンニクのみじん切りを合わせて、手開きして塩こしょうしたイワシの両面を香ばしく焼き、皮を上にしてお皿に盛ります。フライパンにパン粉を入れて残った油を吸わせながらこんがりするまで炒め、イワシの上にかけます。
*イワシの脇でミニトマトを焼いたり、パン粉にドライハーブを混ぜたりお好みで。

イワシの旨みがうつった香ばしいパン粉は、それだけでワインのつまみになります。

11  蒸してしっとり“イワシの梅蒸し煮“

煮物は苦手という方でも失敗なくつくれるのがこの梅蒸し煮。

うどんなどに汁ごとかけてもおいしい

バットにイワシと調味料を入れオーブンペーパーでフタをして、フライパンで蒸し煮にします。

フライパンからの熱が直接当たらないのグラグラ煮立たず、イワシ同士がぶつからないので皮がやぶけずらい上、しっとり仕上がります。これを汁ごと冷やせばできあがりです。


12 蒲焼き

薄く小麦粉をまぶして皮の方から両面をごま油で香ばしく焼き、しょうゆ 1:みりん3 の割合で調味料を合わせてツヤがでるまでからめます。イワシがくずれないよう裏返すのは最小限に。

醤油漬けのイワシ

13 干物

醤油漬けの配合は普段みりん干しをつくるときに使っているつけ汁と同じ

時間がある時は手開きにしてから漬けて2日ほど置いて干せばみりん干しに。

水気を切った後干し網に並べ、白いりごまをパラパラとふり天日で1〜2時間、表面が乾いてツヤが出るまで干します。
*写真は以前つくったものです。

できあがったら魚焼きグリルに並べて表面にイワシの脂が浮きでてくるまで弱火で焼きます。

すぐに食べれない時は1階に食べる分ずつラップに包んでポリ袋などに入れてから、乾燥しないよう密閉容器に入れて冷凍庫へ

ジッパーつきの保存袋やポリ袋は乾燥しやすいのでご注意を。

この時は尾はつけたまま

14  沖漬け風

漬け込んだイワシを手開きにして皮をむきます。

お腹のところに醤油がしみています

醤油につかった身はねっとりとしてお刺身とは違った食感に。こちらも炊き立てのごはんと相性抜群。少し甘いのでお酒のお供にする場合は砂糖の比率を半量にするのがおすすめ。

食べきれない分はラップをしてから乾燥しないよう密閉容器に入れて冷凍します。

生のまま冷凍すると解凍した時に水っぽく食感も悪くなりますが、すでに醤油につかって水分が抜けているため解凍してもおいしく食べられます。

これで10尾分

15  醤油味のイワシフライ

醤油味のイワシも、アジフライのように衣をつけて揚げるとソースなしで美味しく食べられます。

これも二枚重ねて
竜田揚げのような仕上がりに

16  佃煮

佃煮にする時は全ての漬け汁を沸騰させてからザルでこし、アクをとりのぞいて冷ましておきます。

かなりアクが出るのでこの作業は必ずやります。

フライパンにイワシが重ならないように並べ漬け汁を注ぎ、しょうがの薄切りをちらします。

中火にかけて沸騰したら落とし蓋がわりにキッチンペーパーをかぶせます。

蓋をして火加減をごく弱火に落とし、汁がなくなるまでコトコト煮ていきます。

徐々に生姜が飴色に
ほとんど汁がなくなりました
これで2時間くらい

仕上げに粉節をたっぷりまぶして出来上がりです。


イワシの旨味が詰まっています

17  ほぐして“ふりかけ“

佃煮をフードプロセッサーにかけて骨が口に当たらないよう粉々にしたものに白いりごま、粉山椒などを加えてお好みの味にすればしっとりふりかけに。
*背骨がかたい場合は外してください。

これをマッシュしたジャガイモに入れ、ひとくちサイズのコロッケにすばビールのお供にも。

佃煮はたっぷり入れます

<ほかにもできるこんな食べ方>

18  そのまま“魚焼きグリルで“

そのまま魚焼きグリルに並べて焼くだけ。

19  天日に干して“丸干し風“

 水分をふきとりそのまま天日で干します。干し加減はお好みですが表面が乾く程度になればOK。

20 手開きしてから“竜田揚げ“

手開きしたものをくるりと巻いて爪楊枝で止めて片栗粉をまぶして揚げます。
そのままパタンと2つに折って揚げてもOK。

20240428  以下のメニューを追記しました。
21 イワシの生姜煮(蒸し)
しょうがのせん切りを合わせて煮付け(蒸し)に。

届いたイワシで実際につくったもの


1日目
お刺身 12尾
イワシフライ   8尾

2日目
塩水保存 お刺身 3尾
     甘酢漬け風 5尾
醤油漬け 沖漬け風 8尾

3日目 
塩水保存 甘酢漬け風 5尾
     なめろう  5尾
     贅沢イワシフライ 18尾(食べきれない分はパン粉をつけた状態で冷凍)

4日目 
醤油漬け 沖漬け風  23尾(食べきれない分はラップをして冷凍) 
     佃煮    25尾(冷蔵保存)→そのうち5尾はコロッケに