シェア
酒場はいつもと違う喧騒に包まれていた。その理由は誰の目にも明らかだ。カウンター越しにバ…
アリスは遠くに第501坑のドームを認めるとその場に跪いた。目の前には地下坑道に続く非常口…
オスティアリウスはジュノーに向けたアンテナを月上空に残すと、ゆっくりと第501坑に降りて…
アリスのバーにふらりと訪れた男はマーレイだった。マーレイはルナ解放戦線のリーダーだ。か…
「まずい」 アリゲーターはグラスを机に置くと爬虫類のような目でアリスを見据えた。 ア…
暗がりからすっと現れたのは女性型のアンドロイドで名はジュピターといった。長くしなやかな…
ルナシティにアリスが到着して一年が経つが、夢郎の行方はようとして知れなかった。意識転送した夢郎はここに身を潜めているという確かな確信があったが、情報はほとんど無く、旧式の設備しかない月面の街で百万人の中から一人を見つけるのは困難を極めた。 ルナシティはプトレマイオスクレーターの中心に作られた人工都市だ。時々深宇宙からやってくる隕石を避けるため、地上にほとんど建物は露出しておらず、地下に向けてバベルの塔を逆さにしたような階段状の穴がいくつも掘られ、壁際から四方八方に無数の
星々が回っている。連日電子ウィスキーの飲み続けであらゆるセンサーが異常値を示しているせ…