猫化⑦

ひとり遊び疲れ
ウトウトと
睡魔が押し寄せた頃

ご主人様が
そっと
私を抱き上げた

少し窓を開け
部屋に風を通した
まだ風は冷たく
ご主人様の脇に
頭を埋めた

ため息をついたご主人様
私が
心配そうに見上げると
遠くを見つめるご主人様は
多くを語らないながらも
笑顔が減っていく日々に
疲れているようだった

私は
ただ優しく抱かれ
癒された
ご主人様は
ただ優しく
私を抱き癒された

時を共有する
人生の中で数は多くない
異種の生き物なら尚更
私がご主人様の年齢を越え
寿命を迎えるのだから

言葉ではなく
本能的直感のように
互いに欠けた部分を
補っている

ご主人様の鼻先を
優しく舐めて
目線を向けると
ご主人様の体に
身を添わせた
互いの温もりの為に