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鹿肉の低温調理について

以前、東京の割と良い値段のする料理屋さんにて、鹿肉を低温調理したものを食べた(サムネ参照)。
これが柔らかくて、旨味が強く、めちゃくちゃ美味しかったので、それからというもの低温調理に何度か挑戦している。

どんなレシピかといえば、まず塊肉を焼き、そのまま出汁としょうゆ、みりんのタレの中に入れたまま低温調理を行い、一晩冷やして切り分けるというものだった。

問題はこの低温調理の温度と時間だろう。高ければ火が入りすぎてしまうし、低ければ火が通らず生食になってしまう。

鹿肉含めジビエの生食は推奨できない。可能性は低いもののE型肝炎ウィルスへの感染リスクがある。


このリンク先のQ&Aにも書いてあるが、E型肝炎ウィルスは加熱すれば感染性を失う。

HEVは、63℃で30分間と同等以上の熱処理で感染性を失うため、心配はありません。

生シカ肉を介するE型肝炎ウイルス食中毒事例について(E型肝炎Q&A)

鹿は反芻動物なので牛に近い。牛なら大腸菌にだけ気をつけてれば良い。しかし、上記のE型肝炎や寄生虫のリスクがあるため、同様のリスクがある豚肉の規準に合わせるのが良さそうだ。

このページの「IV-10  加熱不十分の豚肉」のQ&Aを確認して欲しい。

トキソプラズマ以外にも、豚肉はE型肝炎ウイルスやいろいろな細菌、寄生虫などに汚染されている可能性もあるので、十分な加熱が必要です。中心温度が63℃、30 分以上と同等(75℃1分以上)の加熱調理により、寄生虫や食中毒細菌も死滅します。調理の際には、生肉を扱った調理器具等によって他の食材が汚染されるのを防ぐことも重要です。一般的に抵抗力の弱い高齢者、小児、妊婦の方は、より一層注意が必要です。

食品安全委員会

ちなみに最後の調理器具の洗浄に関しては以前まとめたことがある。

大事なのは「中心温度63℃で30分以上」同等という目安である。
高くすれば、75℃1分以上だし、低くすれば何度で何分になるのだろうか。

ここまで調べてBONIQのサイトに加熱時間基準表なるものがあった。

この資料のなかにずばり豚肉・ジビエの表がある。
E型肝炎ウィルスについてはアメリカの基準から61℃以上になっている。さすがにこれを下回る温度をここで提示することは難しい。

ちょっと結論としては尻すぼみになってしまったが、この表で良さそうである。
E型肝炎ウィルスが必ずしも鹿にいるものではないらしいので、そのあたりのリスクを甘受するならもう少し低い温度で、牛肉の基準で低温調理しても良いのかもしれない。最後は自己責任である。

おそらく冒頭の料理屋さんでは牛肉基準の温度になっているだろう。61℃ではあの色は出ないと思われる。


それでは安全なジビエライフを

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