小数点以下の感情(0.999…)乙丑
夏が足元に戯れつく。
ナイフの先から溢れる狂気よさようなら。
ピンクのキャミソールの裾からこぼれ落ちる初夏。
光がわたしの肌の上で踊っている。
虹彩は宇宙の瞬き。
美しい葉がサラサラと音を立ててぼくの耳を擽る。
レースから流れ出た金の糸はあなたのこころへ繋がっている。
そばにいるだけで体温が上がる。
いつかの記憶はあいの残骸。
見つめるたびに触れるたびに震える空気。
インクから漏れる線は吐息のように温かい。
辛辣な言葉より孤独な瞳が悲しい。
嗅覚は海馬に繋がってわたしを覚醒させる。
ペコペコ凹む床が愛おしい。
年輪を感じるてのひらはとても美しい。
自尊心を失った花弁は地面へポトリと落ちた。
無我夢中に呼吸する先は色即是空。
落下していく感覚は雨が降っているから。
真っ赤にひらひらと舞う尾びれの輝き。
球体の上に立っている私たち。
サンダルから見える爪先は宇宙色をしていた。
声色は透明なノートの上を泳いでいる。
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