雨のヴィンテージ２０２１の振り返りと「u」というワインについて
こんにちは。木谷ワインの木谷です！
表題の件について簡潔に書きます。
その前に問題です！(笑)
特に思い入れの強いワインとして「u」というワインをリリースしました。
アルファベット「u」には２０２１年のヴィンテージを振り返って３つの意味を込めました。
その３つとはなんでしょう？
答えはこの文章の末尾に。
２０２１年は雨雨雨……
さてさて、奈良と大阪で葡萄栽培をしている私にとっては、２０２１年は栽培面でこれまでで最も苦難の年でした。西日本のワイン用葡萄生産者の方もきっとそうだったのではないでしょうか。違ったら僕が特別へたくそです(笑)ちなみに、國津果實酒醸造所の中子さんの収穫を手伝いに行きましたがめちゃくちゃ良い葡萄がしっかりとできていました。流石……。
５月
短期的に降った大雨でビジュノワールの花が振るいまくり、ほぼ結実しませんでした。
６月、７月
長雨でべと病ががっつり出てしまい（あまりべと病を出したことが無かったので１回出してみようと思ってボルドー液の散布を敢えて１回抜いたらえらいことになりました(笑)）
８月の初旬からずっと雨雨雨
収穫のタイミングを見計らう余地なく、デラウェアを除いて未熟な葡萄の収穫を余儀なくされました。ツヴァイゲルトレーベ、ピノノワール、ピノグリ、ソーヴィニヨンブランの順に粒が割れまくりました。
ところで、仕込みの合間を縫って仲村わいん工房さんの選果を手伝いに行かせていただきましたが、デラウェアも割れ始めていたものの同時期に収穫を進めておられた葡萄は、後から考えると最良と思われるタイミングで収穫されていました。これまで数十年でもないほどの多雨の年度に、適切なタイミングで収穫を行っておられました。流石……。
雨のヴィンテージ２０２１から学ぶことは多々ありました。
・シーズン中の雨はやはり致命的であること
・やはり選果が重要なこと
・多雨への葡萄の反応
・低ＰＨ，低糖度だと汚染リスクが飛躍的に高まること
・除草剤不使用？有機栽培？による味わいは葡萄の熟度とは別に存在しそうだということ
などなど
収量や品質と引き換えに学びの多いヴィンテージでした。
醸造所が完成する前年に失敗しまくれてラッキーラッキー！と思うことにしています(笑)
収穫や選果では多くの方々に手助けいただきました
本当にありがとうございました。お陰様で妥協の少ない仕込みができたと思います。１人では本当に無理でした。例年よりも多くの方との出会いがあり、深い関わりがあった点でも特別な年だったように思っています。沢山の仲間ができた年でした。
早朝から収穫して、仕込みが終わるのは日付が変わる前。という日が何度もありましたが、皆様のおかげでなんとか乗り切ることができました。
最後に「u」というワインについて
羽曳野市飛鳥に位置する凝灰岩土壌の畑、２０１８年から雨よけ、無農薬、短梢剪定のデラウェアを使用しております。
８月１３日、例年この畑で完熟し、かつ酸が残る日付に沢山の仲間と収穫しました。
収穫後、醸造所で丁寧に選果し、当日と翌日に圧搾しました。足踏み破砕後、バスケットプレスで時間をかけて、６０％程度のあっさりとした圧搾をしました。
圧搾後に澱引き処理をし、自然酵母によって１６度で発酵、１次発酵完了後に速やかに澱引きをしてステンレスタンクにて静置したのちに、さらに澱引きして亜硫酸を添加することなく瓶詰めしました。
香りは例年ならば温暖な大阪府羽曳野市の特徴としてパイナップルやパッションフルーツ等の南国果実の香りが出る畑なのですが、成熟時期に多雨で比較的冷涼な年であった為、ラフランスや柑橘のニュアンスが強いです。果実のボリューム感は十分に感じられつつ、水のような飲み疲れしない飲み心地であり、デラウェアを使用したワインとしては他にない表現ができたと思います。
「水」というのは雨の多い日本において、重要な表現の一つと思っています。苦労の多い年でしたが「水」とボリューム感のいずれも内包できたワインとしてこのワインを非常に気に入っています。
４００本だけ生産できたこのワインですが、もう手元に僅かしかありません。これらは２０２１年に携わっていただいたメンバーと、毎年ゆっくり飲んでいきたいと思っています。酒販店様で見つけられた場合には是非手に取っていただきたいです。個人的には雨の日に、お出かけがキャンセルになった日の日中に一日かけて飲んでいただくことを推奨しています(笑)
最後に冒頭の答え合わせをして投稿を絞めます。
「u」
・雨の音読み「う」
・力を貸していただいたあなたたち「you」
・アルファベットの21番目「u」、ヴィンテージ表記を代替
もうちょっと手元に残せば良かった！全部自分で飲みたい(笑)
ここまで読んでくださりありがとうございました！
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