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ミラーレスカメラのバッテリーの充電時間や必要となる予備の本数などのデータまとめ

※この記事は有料に設定していますが、本文はすべて無料でお読みいただけます。

みなさんはご自分のカメラのバッテリーの充電時間を把握しているだろうか。

メーカーのウェブサイトの製品ページにはあまり見かけないこの数字は、写りにはまったく影響しないうえに、撮影という行為にもほぼ関係がない。

撮影前の準備や撮影後の片づけにはからんでくるものの、そうそう大きな問題にはならないはず、とタカをくくっている人も多いのではないかと思う。

しかし、空のバッテリーをフル充電するのにかかる時間は短いもので120分。長いものだと240分とか300分とかのもある。

泊まりがけの撮影旅行で宿に入ってから使い切ったバッテリーを3本充電しなくちゃならないとして、1本あたり240分かかるとしたらトータルで何時間かかる?という問題は無視していいものではない。

それにバッテリーは安くないアクセサリーだ。

自分が1日に撮る枚数をまかなうには何本のバッテリーが必要で、予備を買うのにいくらかかる?というデータは購入時の予算だてには欠かせないはずだ。

といったあたりも含めて、今回はカメラのバッテリーにまつわる数字についてぶつぶつやってみたいと思う。

なお、一眼レフは電池が持つのがあたりまえなこともあって、ここでは現行のミラーレスカメラだけ取り上げる。

また、あとのほうにも書いたが、各機種の個別のデータのみ有料に設定している。本文を読んで役に立ったと感じていただけたら、あるいは楽しんでいただけたなら、ご購入、サポートいただけるとうれしく思う。

バッテリーの税込み実売価格

まずは気になるお値段から取り上げてみる。

バッテリーはカメラには欠かせないアイテムであり、そこそこに高価でもある。予備として買うのが1本だけならまだしも、何本か買わないといけないとしたら相応に財布へのダメージも大きい。

容量やカメラの燃費との兼ね合いもあるので単純ではない。

メーカー希望小売り価格ではなく、ヨドバシカメラ(yodobashi.com)で調べた税込みの実売価格をランキング形式で紹介してみる。

なお、平均値は約7,084円だった。

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※noteは表組が作れないので、表計算ソフトの画面キャプチャーを載せてます。

◎安い

いちばん安いのはシグマfp、fp Lに同梱されているBP-51。容量が小さいこともあるが、2位のニコンEN-EL15bの半額以下というのは素晴らしい。

ちなみに、EN-EL15bは単品での販売は終了しているようで、容量が増えた新バージョンのEN-EL15cは6,530円にアップしている。

3位以下も比較的容量の小さなものが並ぶ。

◎高い

一方、お高いほうはキヤノンLP-E6NHがダントツ。2位のソニーNP-FZ100に迫る大容量タイプではあるが、対応するEOS R5やEOS R6での撮影可能枚数は少ないのがいただけない。

ソニーNP-FZ100は対応機種の燃費のよさもあって、けして安価ではないものの割高には感じにくいと思う。

3位のパナソニックDMW-BLK22、4位のオリンパスBLH-1あたりも対応機種が400枚以上撮れるのでまあ納得できるが、5位のソニーNP-FW50は容量のわりに高めとなっている。

バッテリー電力量(mWh)

スペック表に載っているバッテリーの容量は「mAh」単位だし、以前ブログ記事でもその数字を取り上げたら、「電池の能力は電圧と電流の両方を見なきゃダメだよ」とお叱りをいただいたので、こちらでは公称の電圧(V)と容量(mAh)を掛け合わせた電力量(mWh)を計算してみた。

平均値は約12,315mWh。最小値と最大値の比は1:4.6ほどだった。

この数字が大きいほどバッテリーの能力が大きいことになるが、サイズも大きくなりやすいので、単純に大きければいいとはかぎらない。

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◎大きい

トップのパナソニックDMW-BLJ31は電力量もず抜けて大きいが、サイズも立派。重さの110gは現行のミラーレスカメラで暫定トップとなる(キヤノンEOS R3とニコンZ 9の仕様が明らかになれば3位になる見込み)。

2位のフジフイルムNP-W235はX-T4から採用されはじめた新型で、同等のサイズの他社バッテリーよりも電力量が大きいのが見どころだ。

◎小さい

小さいほうもパナソニックがトップ。コンパクトなDC-GF10対応のDMW-BLH7は電力量も小さい代わりにわずか29gの軽さだ。

3位のソニーNP-FW50をのぞいて、軽快タイプのカメラ向けバッテリーが並んだ。

静止画撮影可能枚数

フル充電のバッテリーで何枚の静止画を撮影できるかをあらわすスペック。カタログやウェブサイトに載っている数字はCIPAの基準にのっとったもので、だいぶライトな写真趣味の人の使い方を前提にしたような条件でテストを行なうことになっている。

そのため、撮り方によってはスペック上の数字の2倍以上撮れるケースも多々ある。ので、あくまで参考として眺めるべき数字と言える。

ファインダーを内蔵しているもので、ファインダーとモニターの両方の数字が記載されているものはファインダー撮影時の数字を取り上げた。注意事項等が記載されたものについては、重要そうな項目のみ抜き出して掲載している。

平均値は約382枚。多いものと少ないものの比は4倍強だった。

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◎多い

トップのオリンパスE-M1Xは、実はバッテリーを2本装填する仕様で、同じバッテリーを1本だけ使うE-M1 Mark IIIは420枚なので、E-M1Xのほうが少しだけ燃費がいいと言える。

2位以降はNP-FZ100を使用するソニー機がずらりと並ぶ。バッテリー1本でこれだけ撮れるのだから素晴らしい。

◎少ない

ワーストはキヤノンEOS RPとパナソニックDC-GF10が210枚で並ぶ。4位のキヤノンEOS Kiss Mも含めた3機種はバッテリーの容量が小さいのが影響しているのだろうと思う。

3位のキヤノンEOS R5は比較的容量の大きなバッテリー(しかも高価)なのになぁと思える成績だ。

5位のシグマsd Quattroも名うての電池食い虫だが、それをベイヤーで超えるカメラがあるのが驚きだ。

静止画1枚あたりの消費電力(mWh)

バッテリーの容量(mWh)を撮影可能枚数で割った数字で、乱暴に言えばカメラの燃費である。

パフォーマンスが高いカメラは消費電力も大きくなると考えられるので、小さければいいとはかぎらない。

平均値は約33.8mWhだった。

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◎小さい

NP-FW50を使用するソニーα6100とα6400がワンツー。次いでフジフイルムX-E4までが20mWh未満。

5位のフジフイルムX-Pro3は光学ファインダーでの数字なので、EVFやモニター撮影が多いと燃費は悪くなるはずだ。

◎大きい

キヤノンのEOS R5とEOS R6がトップと3位、パナソニックのDC-S1シリーズが、2、4、5位という結果。

ちなみに、ソニーα1は全体の14位となる38.2mWh。それと比べるといったいどこに電気を使っているんだろう。不思議だ。

標準の充電方法での所要時間

使用説明書などに記載されている充電時間を比較した。バッテリーが同じでも充電方式が異なるケースがあるので機種別のランキングとしている。

複数の充電方法があってそれぞれの充電時間が記載されているものについては短いほうを掲載した。

平均値は約178分=約3時間だった。

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◎短い

冒頭にも書いたとおり、短いものは2時間で終わる。

容量の大きなバッテリーほど時間がかかるかと言うとけしてそういうわけではなくて、たとえば、パナソニックDC-S1シリーズに使われるDMW-BLJ31(7.4V、3,050mAh)の大容量ながら130分で充電完了となる。

ちなみに、シグマのfp Lがランクインしているのにfpが入っていないのは、付属のACアダプターが異なるためで、fp Lに付属のUAC-21を別途購入すればfpも同等の高速充電が可能となるはずだ。

なお、オリンパスE-M1Xには2台の充電器が付属するので、2本のバッテリーを2時間でフル充電可能だ。

◎長い

300分=5時間という怪記録を持つフジフイルムの3機種は、カメラに同梱されている充電関連アイテムがUSBケーブルのみ。しかも、記載されている数字は接続するUSB端子の出力が5V、500mAの場合のものなので、もっと出力の大きな端子につなげば時間短縮は可能なはずだ。

また、別売のバッテリーチャージャーBC-W126Sであれば150分=2時間30分で充電完了する。

ソニーの3機種も付属のACアダプターとUSBケーブルの組み合わせでの数字であり、上位モデルには同梱されている充電器を買えば150分充電が可能だ。

静止画1,000枚撮るのに必要な予備バッテリーの数と価格

1,000枚の静止画を撮れるだけのバッテリーの本数からカメラに付属しているバッテリーの本数(オリンパスE-M1X以外は1本である)を引いた数が購入すべき予備バッテリーの本数で、それに必要な金額をyodobashi.com価格から計算した。

順位は金額を基準にした。

平均値は約2.3本、約16,000円かかる計算となった。

ただし、500枚撮れるバッテリーだと予備は1本ですむのに対して490枚のバッテリーだと予備が2本必要となる。ちょっと不公平感があると思うので、予備も含めたバッテリーで撮れる枚数を付記した。

また、公称の撮影可能枚数と実使用での数字にはかなり差が出るものなのであくまで参考データとして見ていただきたい。それでも予備のバッテリーを何本用意すればいいかを考える目安にはなるはずだ。

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◎安い

バッテリー価格がダントツに安いシグマfpが、3本も予備を買わなくてはならないにもかかわらず、もっとも安上がりという結果になった。

2位のフジフイルムX-T4はちょうど500枚撮れるバッテリーなので、1,000枚というターゲットに対してうまくはまった結果。3位のE-M1Xは2本のバッテリーが付属しているため、買うのは1本だけですむのがアドバンテージになった。

つづくソニー勢でもα9 IIはちょうど500枚だが、α7Cやα6600などは700枚前後撮れたりする。同じバッテリーでもずいぶん燃費が違うので、撮影後の残容量も違ってくる。

◎高い

地味につらい結果となったのがこちらの5機種。12,000円するLP-E6NHを使うキヤノンEOS R5とEOS R6が他に大差をつけてのワンツーとなった。

特にEOS R5は予備が4本いるのでそれだけで5万円近いお金が飛んでいくことになる。カメラもレンズもお高いだけに、ファンとしては泣けるところだろう。

3、4位のパナソニックDC-GF10、キヤノンEOS RPは1日に1,000枚撮る前提で選ぶカメラとも思えないし、5位のソニーα7 IIもバッテリーまわりに関しては後継のα7 IIIを買ったほうが賢いだろう。

静止画1,000枚撮るのに必要な総充電時間

こちらはついでで計算したもので、1,000枚の静止画を撮影するのに必要な数のバッテリーを標準の充電方法で充電した場合のトータルの所要時間を比較した。

500枚撮れるバッテリーも700枚撮れるバッテリーも1,000枚撮るには2本必要で、1,000枚撮って残った容量を無視するのも問題なわけだが、そのへんは深く追求しないことにする。

平均値は約583分でかぎりなく10時間に近い。ちょっと絶望的な気分になれる数字だ。

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◎短い

トップのオリンパスE-M1Xはトータルで3本のバッテリーが必要になるが、充電時間が120分と短いうえに充電器が2台付属しているので効率がいい。

2位以降のソニー機も2本目のバッテリーの充電を開始した時点で寝てしまっても平気。と考えると撮影旅行には有利と言えそうだ。

◎長い

最長のフジフイルムX-S10は撮影可能枚数が325枚なので、3本だと1,000枚に25枚足りない。それで4本のバッテリーがいる計算なものだからこういう結果になった。

ただし、3位以下のシグマfp、フジフイルムX-Pro3とX-E4もそうだが、充電用アイテムを追加購入すれば半分程度に短縮できる。

いちばんの問題児は2位のシグマsd Quattroで、撮影可能枚数が少ないうえに充電手段がほかにない。ので、大量撮影派は複数の充電器を手に入れるしか選択肢はない。こういうところでも覚悟が必要なカメラだったりする。

まとめ

バッテリーの充電時間のデータは前から気になっていたのだが、撮影可能枚数やバッテリーの実売価格とからめてあれこれ計算してみたところ、案外におもしろいものになったと思う。

1日の撮影枚数が多いヘビーユーザーにとっては、必要な予備バッテリーの数やそれを購入する費用も重要なはずだし、場合によっては予備の充電器も入手する必要があるかもしれない。購入前の予算だてにも影響するだろう。

とまあ、最初は冗談半分でいじりはじめたデータなので、ひまつぶしのネタにでも楽しんでもらえれば十分だが、なにかに役立てていただけるなら幸いだ。

追加情報 現行機種データ

使用説明書などに記載されている現行ミラーレスカメラ52機種のデータをまとめたものだ(すべてテキストデータです)。

前回の記事でも触れたが、昨今の出版不況の影響を受けまくって生活苦に直面していることもあるので、このパートだけ有料とさせていただきたい。

プロのライターとしての活動にご理解、お支援いただけるとありがたく思う。

なお、掲載するデータのパターンは以下を参照してほしい。

◎バッテリー:BLH-1

同梱されているバッテリーの品名。

◎重さ:74g

同梱されているバッテリーの質量。シグマとニコン、パナソニックの一部は確認できなかった。カメラの撮影時質量と本体のみの質量の差からメモリーカード分を引いた数字が代用できる。

◎税込み実売:8,440円

yodobashi.comでの販売価格(税込み)。変動の可能性があるので注意。

◎公称電圧:7.4V

スペックとして記載されている電圧。

◎公称容量:1,720mAh

スペックとして記載されている容量。

◎電力量:12,728mWh

公称電圧×公称容量(V×mAh=mWh)。

◎撮影可能枚数:870枚/BLH-1×2本。手ブレ補正オン。映像表示先は記載なし

スペックとして記載されている枚数。

後半は、書かれている但し書きのうち、重要と思われる項目を抜き出して記載した。なにも書かれていない機種もある。

◎充電時間:120分=2時間(付属充電器)

標準的な方法(カッコ内に記載)での充電時間を「xxx分」形式と「x時間yy分」形式の両方を記載した。

◎同梱品:ACケーブル+充電器(2セット)

カメラに付属している充電関連のアイテムをコンセントに近いほうから順に記載した。荷物のかさばり具合の参考になるだろう。

◎予備本数:1本(1,305枚分)

静止画1,000枚撮影に必要な予備バッテリーの本数。カッコ内は予備も含めたバッテリーで撮影可能な総枚数。

◎追加金額:8,440円

静止画1,000枚撮影に必要な予備バッテリーの購入にかかる費用。

◎総充電時間:240分=4時間

静止画1,000枚撮影に必要なバッテリーを標準の充電方法で1本ずつゼロ→フル充電するのに必要な合計の時間。

◎10分充電で撮れる枚数:72.5枚

10分だけ充電したときに撮影できる静止画枚数。機種によっては充電開始直後は急速充電となる場合もあるので計算値どおりとはかぎらない。

◎充電速度:212.1mWh/分

標準の充電方法で1分あたりに充電できる容量(mWh)。充電器などのパワーが判断できるが、データとしての意味は特にない。

◎1枚あたり:29.3mWh

静止画1枚撮影するのに消費する容量(mWh)。数字が小さいほど燃費がいい。

◎1,000枚あたり:38.8円

静止画1,000枚撮るのに必要なバッテリーの価格。500回充放電可能として計算した。

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