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スタートアップ5年の学び

僕はこれまで5年間スタートアップのエンジニアとして多くの経験と学びを得ることができました。取り組んでいた市場はリクルートが寡占している市場であり、コロナで売上が9割吹っ飛んだ市場で、少子高齢化で衰退産業と見られている市場でもあります。

新規事業をやる上での筋肉みたいなのがあるとどんな市場においても急成長を描ける戦略ストーリーを作って実行していくことができると感じるようになりました。

力はパワー

特にその筋肉の部分に焦点をあてて、新規事業に取り組むプロダクト開発者にエールを送りたいと思います。


生活のリズムを整え、基本的な欲求を満たす

生活の基盤を整える(睡眠・食生活・運動)3大欲求を満たし続けるリズムがアウトプットの質を高めていて、どれかが欠けるとパフォーマンスの劣化が始まります。

5年を振り返ってリズムが崩れた期間は成果が少なくて、同時にメンタルヘルスもよくありません。睡眠不足だとコーディングが遅いのは普通に体験できるので気づきやすいですが、食生活の乱れや運動不足も生産性に直結しているのでリズムを作っていくことが新規事業開発において最重要だと思います。

もはやトレーニーと同じです。

不確実性が高くても成果が出ていればメンタルヘルスは比較的健全に保たれますが、そんなケースは本当に稀なので生活リズムを整えてリスクに備える必要があります。イライラしてチームを崩壊させたりするのは最悪のシナリオです。


結局、だれがやるかが重要

不確実性の高い仕事において単純化して式をおくとすると

成功数=試行回数*成功率

失敗にもめげずに試行回数を積み上げられる人は少数派で、不確実性の高い仕事の専門性が高い人材も超少数派です。そこが新規事業の難しみだと思います。

新規事業はおそらく2つ登り方があります
選択肢1:めっちゃ実行してレベリングする
選択肢2:希少種の専門家を連れてくる

別に何のエビデンスもないですが、選択肢1をやってると専門家が見つかって協力してもらえるので選択肢1が正解です。逆に選択肢2は失敗を恐れて試行回数が積めないので失敗するリスクが高いと感じます。何のエビデンスもありません。

不確実性が減ってきてグロースする段階に入ると、うまく専門家やオペレーショナルな作業をこなすスタッフを入れてマネジメントしていくのですが、まだまだ人数は少ないので一人一人の生産性は事業に大きく影響してしまいます。


小さな改善で指数関数的成長を起こす

毎日1%改善すると1年で37倍になる有名な法則があります。

プロダクト品質を常に進化させ続けるとニッチ領域では必ず圧倒的1位になることが可能です。シンプルに1番良い選択肢になることで指数関数的に収益は良くなります。

息を吸って吐くように、プロダクトを改善し続ける。

お客様に直接フィードバックをもらう、代替プロダクトを使いこなす、新しいテクノロジーが自分のプロダクトに活かせないか考える、チームでこのイテレーションを毎日回す。小さな改善のイテレーションを回すことで圧倒的No1に簡単になることができます。

なぜならほとんどの人はお客様に直接フィードバックをもらったりしないし、新しいことに取り組むのは心理的負荷が高くて、代替プロダクトを触るのは面倒だからです。

領域を絞ってリソースを投下すれば必ずNo1になります。

PdMの仕事はよりレバレッジが効くようにリソースを投下すべきポイントを嗅ぎ分けて、戦略シナリオを構築する必要があります。

毎日の筋トレと同じで仕組みはカンタン・継続が超難易度というものなので、継続の仕組みを個人・組織レベルで作っていく必要があります。光通信のカルチャーは別に参考にしなくていいですが、カルチャーを使って仕組みを回すことで継続している例と言えます。


まずニワトリを見つけろ!

有名な「鶏が先か、卵が先か」問題の解決策が何もないスタートアップでは常につきまとってきます。

マッチングビジネスであれば、ユーザーかクライアント企業どっちを先に獲得するかで、結局両方同時に集める必要があるんですけど、計測する(ニワトリを見つける)のが重要だなぁと思うわけです。

実際にやってみてどっちが集めやすいか?
どれくらいのコストでどれくらい集められるかを見積もる。

仮にピザ屋をやろうと思ったら、出店候補地に1日立って歩いてる人の人数・属性をカウントして、実際に歩いてる人にどこのピザ食ってるか聞いたり近所のスパーの冷凍ピザの品揃えとかを確認します。さらに出店候補地の並びの店舗にヒアリングをかけていくのもやれます。計測です。

VCから調達する文脈でも「蓋然性」という言葉で、ユーザー獲得できんの?売れんの?その証拠は?って当たり前のことを聞かれるわけで、どれくらい獲得できる見込みが立ってるかの計測が必要です。

計測すると自ずと戦略は決まってきます。

つまり、「鶏が先か、卵が先か」問題は筋肉よろしくで「ニワトリを見つけろ」という所に着地します。


自動化との戦い

より多くのタスクをこなそうとすると多く働くか、外注するかの2択になります。しかし時間は限界で、外注にもコスト負担が発生します。

エンジニアなので時間を投資して自動化するかについて考えます。2時間投資して毎月30分の作業が自動化されると4ヶ月で元が取れます。でもスケジュールに追われて他にやることがあると30分で済まして来月考えようとか思いますよね(笑)

5年間での学びは、時間投資を中長期的な視点で考えるべきだということです。短期的な目先の1ヶ月ではなく、1年間〜3年といった事業進捗を俯瞰で見た時にどういう意味で時間を活用するか?

・1回2時間を自動化への投資をするのか?
・12回6時間の11回は作業に時間を使うのか?

時間が資産化しているか?
資産化している時間は可処分時間を生み出してくれています。

実際の戦いは投資時間が10時間を超えてくるので、これやったらメインの作業止まるぜ・・・!というしんどい戦いがほとんどですよね。

この問題は投資から学ぶと毎月10%の時間を積み立てる(時間投資する)ことで、未来の可処分時間を複利で獲得できる時間投資戦略を立てることで解決できます。開発のベロシティで10%程度であれば大きな問題になることなく、中長期の時間効率を最適化することができます。

時間投資戦略を個人・組織レベルで織り込んでおくことで自動化と戦います。


失敗してもデータは取れる

計測できると不確実性を大幅に下げてリスクが評価できるようになります。

例:
toB SaaSで企業リスト1000社分あって、1000社の問い合わせフォームに営業して、10社が興味持ってくれて、そこから3社受注できたと分かれば、1万社のリストで30社受注できてARRはいくらとシミュレーションできます。

受注できたのが大企業だけだったらそもそもリストが1万社しかないので、受注率を上げるかフォーム営業はスケーラブルじゃないので営業手法変えるという判断をします。

こういったデータなしで、振り返りの分析もなしで、とりあえずやってると人生ハードモードなのでデータサイエンスを最初から織り込んでいきます。

織り込み例:

  1. 最初から企業リストを500 500の大企業・中小企業のリストに分けてどっちが反応率良いか分かるようにする。

  2. フォーム反応率を見るのに100社ずつ本文を変えてみる

  3. 本文のリンクの反応率を計測する

事前に必要なデータセットから計測をしにいくことで、中長期でみた時にリソースが最適化されます。

最もレバレッジが効くデータの取り方は、人に聞いたりお願いすることですね(笑)toB SaaSなんてたくさんあるので実際にやった人から複数事例を聞けばほとんどのことが分かります。

これ以上はダークサイドスキルなので割愛します(笑)


顧客の横でコードを書く

なぜそのプロダクト仕様にする必要があるか現場・決済者・経営者の3つの視点から簡潔に説明できるでしょうか?ポール・グレアムとかが「顧客の元へ行け」といってますがマジで顧客の所に行かなければ分からないことがあります。

僕個人では明確にイタンジでの経験で現場に行ったり、自分でやってみること、解像度高く思考することの大切さとその価値を学びました。良いプロダクトの出自にはいい原体験があるはずで、良い原体験をするためには座って数字見てるだけではだめで、やはり顧客の横でコードを書くような仕事の仕方をしなければいけません。

教科書的にはヒアリングして、プレセールスして、MVP作ってみたいなフロー図になると思うのですが、愚直に高コストで非効率な対面コミュニケーションでやっていく筋力みたいなものを大切にしていきたいですね。


筋肉まとめ

  • 生活リズムを整える

  • 試行回数最大化でレベリングする

  • 泥臭く改善ぐるぐる回す

  • 計測して鶏卵問題を解決する

  • 仕組みで自動化する

  • 失敗してもデータを取る

  • 顧客の所でコードを書く

約12年エンジニアをやってきて頑張ってプロダクト開発したけど、プロダクトがこの世から消えてなくなった経験を5回しています。たぶん多い方だと思います。

こんな虚無経験はする意味がないので、それを回避するプラクティス集にはなってるかなと思います。

こんな感じで学びながら今日も新しいプロダクト開発をしております。
暮らしをアップデート。

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