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大阪の怖い場所の話を書こうかと思って~千日前~

 千日前は難波のとなり。最寄りは各線の難波駅です。居酒屋などのほかにパチンコ店やゲームセンターが並ぶ遊ぶための繁華街ですね。近年外国からの観光客であふれていましたが今はちょっと人出が少ないかもしれません。

 今も千日前にある法善寺と天王寺区に移転した竹林寺で千日念仏を唱えられていたことからその2寺が千日寺と呼ばれていて、そこからあの場所が千日前と呼ばれるようになったとWikipediaに書いてあります。

 千日前は大阪の陣の後から刑場で斎場で墓地だったことからそういうことを心霊の話に関わらせる言説もよく聞きますが、周囲には花街もある繁華街で茶屋や見世物小屋があったり役者や演劇の関係者が住んでいたりと庶民の遊興が盛んな地域という感じだったようです。

 明治時代になって刑場が無くなって墓地が移転してからの千日前も紆余曲折を経てやはり繁華街として栄えていきます。大火や戦争で焼け野原となっても千日前は「庶民が楽しめる繁華街」として盛り返してきました。

 江戸時代から千日前はずっと遊興施設のある繁華街。そういう場所。

 わたしはあの場所にあるのは「人を集めて楽しむちょっと低俗な娯楽のエネルギー」だと思っています。低俗というと語弊があるでしょうか。庶民が低価格で楽しむ感じと言い換えることができるかもしれません。

 かつての刑場で行われていたことも当時は見せしめであるとともに見世物でもあったと言われています。処刑を娯楽として消費するときの群衆のエネルギーにはすごいものがあったでしょう。都市であればこそ作られる莫大なエネルギー。大阪という古い都市に昔からある千日前という場所にはそういうものが今でも澱のようにたまっていると思うのです。大きなエネルギーのある場所は怖い。それはエネルギーの質には関係ありません。

 莫大なエネルギーの溜まった場所には奇妙な現象が起きやすいですし心霊現象といわれることもあるのかもしれません。

 多くの人が亡くなった千日デパートビル火災の後、しばらく放置されていたあの場所にプランタンなんばができたときはあまり流行らなくて幽霊のせいみたいに言われていました。それが本当かどうかはわかりません。ただ、わたしには「おしゃれなファッションビル」が千日前のエネルギーと合わない質だったんじゃないのかなと思えてなりません。現在営業している庶民の味方、電気量販店はそこそこうまくいっているようですしね。(コロナの後はわかりませんが)

 千日前は古い都市の遊興のエネルギーが溜まった場所。もし、都市計画の変更で大型マンションを建設するとか遊興施設以外の企画が立ち上がるようなことがあれば反対した方が良いだろうなあと思っています。そうなれば、本当の意味での怖い場所になってしまうかもしれません。

 古い都市の怖い場所にはそのエネルギーに相応しいものを置いておかねばならぬのです。




 

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