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【社会活動が活発だと死にたくなる】自殺論の要約や感想など【第一編】


昔から漠然と死にたいと考えながら生きていますが、そういった人間は特に珍しくもないでしょう。

一般的に、現在でも自殺は個人的な問題とされていますよね。

自殺論は、自殺は個人の問題ではなく、社会の問題ではないか? といった内容の本です、エミール・デュルケームという名の学者が書いた社会学の有名な本

19世紀末(1800年代後半)のフランスで書かれました。


今回の記事では、自殺の社会的要因に入る前に、自殺の非社会的要因の話になります。

なので、誰にでも簡単で見に覚えのある身近な話となります。

【自殺には3種類ある】自殺論の要約や感想など【第二編】

第一章 自殺と精神病理的状態


この本はまず、自殺は精神病が原因なのか? という問いから始まります。

確かに現在でも一般的には

1 心が病んだので

2 自殺をする

この流れだと考えられていますね。


精神病者の4種類の自殺


1 偏執狂的自殺
パラノイア
2 憂鬱症的自殺
いつも死にたい
3 強迫的自殺
しなければならない
4 衝動的ないし自動的自殺
計画性も兆候もない 


縊鬼(いき、いつき、くびれおに)という大昔に鬼太郎のクイズ本で読んだ妖怪を思い出しました。

人に取りついて首をくくらせる妖怪で、この場合だと1~4の全てに当てはまる気がします。

ここまで説明した後にデュルケームは、「でも自殺の多くは4種類のどれにも当てはまらないよね」と言います。


ハインリッヒの法則


重大な事故:軽微な事故:ヒヤリハット

の割合が

1:29:300

であるという法則です。

よっぽど精神的にたくましい人じゃない限り、死にたいと思った経験は300回どころではなく、5桁6桁当たり前でしょう。

なので精神病が自殺の決定的要因にはならない、このデュルケームの考察は正しいと私も同意します。

それでは次に、自殺と身体的傾向の話に移ります。


第二章 自殺と正常な心理状態 人種・遺伝


この章ではデュルケームは次のことを、統計を混じえて説明していきます。


・ 人種は民族とほとんど同一視されてしまう

・ 人種や民族というより住んでいる文明が関係する

・ 社会に参加するにつれて自殺率は増していく

・ 自殺に遺伝が関係するというのであれば、10代までの自殺率が極端に低いのはおかしい


第三章 自殺と宇宙的要因


宇宙的要因と言われても全くピンと来ませんが、これは曜日とか場所とか時間とか季節のことです。


・ 緯度と自殺率には関連性がなかった 

・ 統計的に気温が高い季節は自殺しやすい 

(これは昼間の長さが関係しているという推理)

・ 夜間よりも昼間のほうが自殺が多い 

(6時~16時までの間が多い)

・ 金土日は自殺が少ない


デュルケームは、「気温の変化ではなく、暖かくなると社会生活が活発になるから、自殺が増えるのではないか?」という結論を出します。

私達にも経験があることですが、自分が不当に扱われて普段は怒るような出来事も、休日前なら笑顔で許せてしまう。ということがあります。

学生の自殺が最も多いのは夏休み明けなことも考えれば、自殺圧は社会生活が原因であるのは間違いなさそうです(自殺圧という言葉は、デュルケームは使っていません。私が使いやすいから使っているだけです)。



第四章 自殺と模倣


模倣の定義 

・ ある行為が、それに先だって他者によってなされている 

・ 知的操作が介在しない場合

誰かがやったことを、誰に言われるまでもなく、なんとなく真似る。というイメージ。


自殺の観念が伝染的に伝わっていくのは、事実であるので疑いを入れない


これは歴史的事件がたくさんあるのですが、ここでは省略します。

模倣と自殺のまとめ

・ 自殺が個人から個人へ伝染するのは確かだとしても、 自殺の社会率に影響を及ぼすようなかたちは見られたためしがない 

・ 自殺の模倣は社会全体に影響を及ぼすほどの威力はない 

・ 正常な人間は、誰かが異常行動をしたからといって真似をしない 

・ 道徳的伝染病(エピデミー)と道徳的伝染(コンタジオン)は違う


伝染病と伝染は違うので、ニュースでフロントガラスを素手で殴りつける男がいると聞いても、我々は自分でやってみようとは思いません。

「これは模倣犯は出ないだろうな」と、当時ニュースを見て感じたのを覚えています。


統計から見た自殺の基本的知識


・ 女性のほうが自殺しない
(自殺の8割は男性、現在の日本でも同じ比率)
・ 宗教別の精神病患者と自殺率は関係なかった
・ アルコール消費が多い地域は自殺が少ない


男性のほうが、女性よりも社会的だから自殺しやすいそうです。

私はお酒はあまり飲みませんが、お酒に酔って気分が良くなった時は、誰かを捕まえて一方的に話を聞かせたいと思ってしまいます。


終わりに


人間関係がストレスの原因なのに、人間関係がないとストレスになる。

この矛盾は、猿の毛づくろいの話を思い出しました。

毛づくろいには、群れの一員であることそ周りに示しつつストレスを緩和させる、お酒の場のような役割があるそうなのです。

現代人が最近起こったニュースのことを話し合うのも、毛づくろいと言えます。

人生最大のストレスは対人関係ですが、人生最大の喜びも対人関係である、というほうがわかりやすいでしょうか。


ちなみに、3~5月は最も自殺が多い季節なので気を付けましょう。

逆に言えば、3~5月に憂鬱になった場合、季節のせいにできますね。

続きです。

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