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明るい就労支援施設は作れるのか。(前編)

本題の前に軽く自己紹介をします。株式会社タビノネの代表取締役をしている北辺佑智(きたべ ゆうち)です。


珈琲店の店主からはじめた事業、今回は福祉事業の就労支援施設を立ち上げることになりました。なぜ就労支援施設なのか?すこしお話していきたいと思います。

店にまだ立っていたある日、一本の電話が入り「わたし障がいをもっているのですがそちらで働けますか??」

面接をすることにしたが、これまで障がいをもっている人との関わりがほとんどなく緊張したのをよく覚えている。

面接ではカフェの空間が好きでうちの店(珈琲焙煎所旅の音)

のことが好きだと言ってくれていた。言葉はあまり前に出てはこないけれど、まっすぐな目が印象的だった。人とうまく話せないけれどものづくりやカフェの空間が好きで、ここにいるだけで心が豊かになるんだと話してくれて、正直複雑な気持ちになった。

小さな店ではバリアフリーもなく、その方にお渡しできそうな仕事はなくお断りした。その日、ずっと心に何かが引っかかっている感覚だった。

「障がいを持つ人たちはどこで働くことができるのだろう?」

もちろん企業の雇用枠は広がってはいるが、仕事に対して前向きでない方も大勢いる。そんな就労を支援する施設が多数あることを知り、いくつか許可を頂いて見学に行ってみた。

初めての施設見学は衝撃の一言だった。暗い室内で30人ほどがチラシを織り込んだり、ビーズを袋にひたすら入れている。ベッドが何台も置いてありずっと寝ている利用者さんもいた。

「これが支援...???」

そこにいる誰もが、可能性を諦めている気がしてならなかった。

それからいくつか施設を回ったが明るく、それぞれの個性がのびのび育つような施設は数えるほどで、失礼ながらそこで作られているプロダクトも売れなさそうなものばかりで、福祉の未来が心配になった。

そんな中、素晴らしい事業所と出会った。長崎のミナトマチファクトリーという事業所だった。一人一人がクリエイターとして制作だけでなく商品企画にまで関わり、Illustratorなどのデザインソフトも使いこなしていた。なによりそれぞれの表情が明るくだれが職員でだれが利用者かわからないほどだった。

こんな施設を世の中にもっとつくりたいと素直に思い、2021年1月、京都で就労支援施設開設に向け動き出したのだった。

まずこだわったのがロケーション。京都らしく明るく、その場所にいるだけで心まで明るくなるような場所がいい。数十件回ってようやく見つけたのがなんと国宝東寺の真横の物件だった。(続く)


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