微睡む薔薇 散文詩


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燃える沈黙の、紅い森の影に挿す、不誠実な美は、幸福の源泉に投げ込まれました。鏡に映った星の瞬きは、遠い過去の光でした。鎧にしがみついた、白闇の中は、意味達が噴き出しています。運命達の孤独は、夜に木の枝に撓い、水面は波に区切られながら、一枚一枚、花の純粋のように、幾度も研磨されて仕上がりました。私の香りに立ち込めた感性の乱れは、沈黙を、僅かに揺さぶっています。静けさの後の、声の輪郭の優雅さは、不思議を秘めたる肉体の絶頂に、生息する言葉の雛形です。貴方の健全なる夢は、貴方不在の銀河が歌った歌詞、夢の中を舞う舞踏のように永遠でした。匂いを装った光は、庭の木陰に沈む夜に、とぐろを巻いて宿ります。井戸に深く沈む布団の中で、夢は、暗闇の中心で目覚め、月が零した錆に群がる、銅板に散りばめた、底なしの沼に忍び混んでいます。その想いに魅了された、棘と魂はもつれ、絡み合い、天使の翼を広げた肌の胸の味に、鉤爪の跡は、枯れ木の先端の感覚を呼び集め光を傷つけています。その希望たる太陽の光、風の強い路地、落ち葉の不滅、又はその不快感まで、魂は花序の時に、季節は群がり、その二股の舌に包まれています。絶望している星達を磨き、銀河は視線の遠くに失われてゆきます。浜辺を彷徨い歩きながら、純粋な香りが至るところで、轟音を立て、鼓動が貴方の故郷に鳴り響く、小さな、とても小さな波が思いを巡らせる、心臓の周りを、泳ぎまわる鼓動が徐々に高鳴り、鼓動はふっくらとした胸の丘陵に溺れています。眉をひそめる貴方は、霧に覆われた髪に、心地よく目覚めはじめ、痛んだ果物の透明な種は、船に積み込まれ、泣いている薔薇の、純粋な涙の欲望は、水に切断された、無駄に愛だけを伝えています。少女の瞳を包み込み、影を揺らす黒い髪は、僅かに微睡み、立ち上がる香りに漂い、単純な愛の形式を、忘れさる気持ちにぶら下がるしろい掛布に、貴方の腕が、貴方の夢の、奥底深くにまで沈んでいます。常盤木は、水に濡れた涙の上に、張り巡らせた海面を、裸の焚き火を燃やして、水面の光沢は、珊瑚礁を隠しています。空を昇る幽霊は、水を燃やし、窓の外から、色褪せながら消えてしまいました。そして、星の邪魔をしないように月は現れ、完全な沈黙のときに、祈りは、離陸のための許可を待ち続けています。平和に照らされたまま動けないでいる、その金色の波を炙り、空は溜息をついて、貴方の窓から、ぶら下がる腕の、指先に芽吹いた花の香りに漂う、白い縦縞模様の後ろに、憂鬱が籠城するように、私は自分の夢に束縛され、夢から目覚めることができません。金と銀を織り成した、夕日に黄昏ゆく声が、貴方の夢を見て、胸に暴れている私の空虚は、山の尾根に立ちつくし、輝く星を賞賛し、夜空の敷布の下で、詩情を秘密のように明かそうとしていました。古くから浮かぶ哀悼の地、眠る紅橋には、季節を愛し、欲望は、何年にも渡り、往来し継承されていたのです。貴方の目の営みに、永遠は朝日のように燃えあがり、鐘の音の乱れは、水面の輝きに向かって流れています。今更、美の条件が、何かを欠いているその、嗚呼! なんという私の無力な膝が、愕然と貴方の薔薇にひざまづき、柔らかな棘の絨毯の上で、絡み合っているのでしょう。貴方は薄暗い胸を露出させながら、濡れた髪を、血塗れのシャボンで洗い流し、心を尽くされた裸の王が、波打ち際で喘ぎながら、貴方の腰からぶら下がり、暗い光の闇の中で、新たな死を始めています。私の心の中の巫女は、溜息を吐いていました。私が恐れた無関心な時間は、幸せの為の、湯を張り詰めた浴槽に足を浸していました。冷酷な悲しみが、私に背を向けています。海を呼びながら、嘆き悲しんでいます。謙虚さを装い、彷徨う歩く偽りの優しさは、偏見のないひとつの心情そのものの中で完成していました。銀河の終わりを夢は包み込み、生きていることを示しています。無駄な悲しみに、意図された行為に、涙を流して歌う闇の悲しみに、再び目を閉じて、純粋に研磨された永遠の、闇を求め、それが何で在ったのかについて、欺瞞に満ちた手の平に癒され、肌に広がり、空に起伏する、嗚呼!夢の中で聴こえる音楽が水瓶に溢れ、現を濡らしエトスに沈む!貴方の名前を忘れないように、歌声を永遠の心で止められない意味の、深海に置き去りにされた踊り子達の、沈黙の森の影に、日没は紅く染まっています。詩人から生まれ、死んでいった言葉は、ひとつ、今、貴方の指先に止まり、孤独の炎を燃やしています。おお!なんという悲しい悲鳴を上げ、血反吐と痛みを吐きくだし、死に絶えながら、微睡む言葉の薔薇に、沈黙している運命達には、15年分の花束を捧げていた物語りがあったそうです。

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