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監督からのプレゼント

新チームのスタートから初の公式戦までを振り返り、今感じていることを本音で伝え合うミーティングを経て、チームは新たなスタートを切ったようです


そんなある日の練習後、キャプテンと副キャプテンがボクのところを訪ねてきました

どうやらその日やった練習(『スピード』に特化したレシーブ練習の中で、先輩・後輩に関わらず呼び捨てで名前を呼ぶ)がよかったらしく、コート内でお互いにもっと気軽に声をかけあいたいとの理由で、『コートネーム』を付けてほしいというお願いでした


ちなみに『コートネーム』とは・・・

女子バレー界ではよくあるようですが、本名とは別の名前(ニックネーム)のことで、監督や先輩から名付けられることが多く、練習や試合ではもちろん、普段の生活から呼び合うくらい大切にしている選手のやチームもあるそうです

かくいうボクも、過去指導していたチームの選手たちに名付けていたこともありました

今のチームの指導に関わらせてもらって4年目ですが、今までそんな話は出たことがなかったのでビックリしましたが、声を出さないバレーを経験し、ミーティングの中で『声』についてもお互いの本音を伝え合ったことが、少なからず影響しているようにも感じました


「それがあるとチームはどうなりそう?」

「自分たちで名付けないのはどうして?」

「どんなコートネームだったら嬉しい?」

そんなやりとりをし、「じゃあ考えてみるよ」と言うと、とても嬉しそうに帰っていきました


その日の晩、早速11人分のコートネームを考えてみました

そのときふと、ボクは今までも色んなものに名付けてきたことを思い出しました

自分の子どもの名前はもちろん、仲間同士のグループ名、ビーチバレーのペア名、通信のタイトル、自分が乗ってきた歴代の車などなど

色々な条件や思いを踏まえたうえで、それをパッと表すことができ、伝わるネーミングを考えるのが好きなんだと思います

これはある意味、ボクが得意としている『たとえばなし』にも通ずる感覚のような気がします


今回ボクは、こんな手順で考えていきました

1. 学年ごとのテーマを決める

2年生7人、1年生4人のチームなので、それぞれの学年にテーマを設けました

それによって、学年ごとのまとまりというか、結束力みたいなものが生まれたらいいなと思ったのと、名付けるボク自身がイメージしやすくなるのが理由です

ちなみに・・・

7人の2年生は7色の『虹』、4人の1年生は『四葉のクローバー』というテーマにしました

2. イメージする

次に、各テーマで挙がったものの中から、選手1人1人をイメージしながら、名付けるボク自身の『感覚』を大切にして当てはめていきました

色々なものを名付けてきた中で、理由や理屈よりも先にイメージや感覚を大切にしたネーミングは、とてもしっくりきて、後々の違和感もほとんどないからです

虹は、7色をそのままイメージしました

四葉のクローバーは、一般的に言われているそれぞれの葉の意味である『誠実』『希望』『愛』『幸福』をイメージしました

どちらもとてもしっくりきたので、さほど時間はかかりませんでした

答えなんかなくて、自分のイメージや感覚だけで選んだからだと思います

3. 読み方を考える

それぞれに当てはまるイメージが決まったら、それをどう読む(呼ぶ)のかを考えました

読み方や呼び方によってもイメージが変わるし、何より名付けられた本人に喜んでもらいたいからです

例えば今回で言えば・・・

虹の『赤』をそのまま『アカ』と読むわけにはいかないので、音読みにして『セキ』にしたり、四葉のクローバーの『誠実』は、『誠(まこと)』から『マコ』にしたりと、ちょっとしたひと工夫をしました

4. 意味付けをする

ボクのイメージとボクが考えた読み方だけで命名してしまったら、名付けられたときの感動はとても薄くなってしまいます

そこには『意味』がないからです

あまり押し付けるとプレッシャーになってしまいますが、チーム内における本人の立場や人となり、プレースタイルなどをしっかり考慮した上で、監督であるボクからの『願い』みたいなものを少しだけこのコートネームに託します

これがあるかないかで、名付けられた方の喜びは大きく変わるというのがボクの実感です


例えば・・・

「君は色で例えると青っぽいから、青を音読みにして『セイ』。だから君は今日からセイね。」

って名付けるのと

「君はまだまだうまくなる可能性を持っている。今の自分に満足するんじゃなく、あの青空のようにどこまでも広がる無限の可能性を、もっともっと追求してほしい。そんな願いを込めて、君を青と書いて『セイ』と名付けたい。」

って名付けるのとでは、伝わり方が全然違ってくると思います


こんな風にして、11人の選手たち1人1人にコートネームなるものをつけてみた今回の経験が、読んでくださったあなたにとって何かプラスになればいいなと思っています


それでは今日のしつもんです

『どうすれば喜んでもらえそうですか?』

名前は、生まれて最初にもらうプレゼント

このコートネームが、ボクから選手へのプレゼントになっていたら嬉しいなって思います


#バレーボール
#指導
#コートネーム




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