婚活13 ビールな女 2


  [あ…今日はKさんと飲むんだっけ]


Kさんと地元で飲みの約束はしたが、今一つモチベーションが上がらないまま当日を迎える

待ち合わせの場所に到着

ビール大好きなKさん、この日を楽しみにしていたらしい

俺と会うのが目的なのか、ビールが目的なのかは知らないけれど

そうは言っても俺から見れば女性とは久しぶりのサシでの飲み

折角だからこの日を楽しもうと俺もモチベーションを上げる


[さ!行きますか!あのお店の雰囲気はね、俺好きなんだけど行ってみます?]

Kさん
[そのお店知ってるけど店長が嫌い〜]


……上げたモチベが早速下がる⤵︎


[それなら、こっちのお店はどう?]

Kさん
[そこのお店は私好みのビールが置いてない〜]

………さらにモチベが下がる下がる⤵︎⤵︎

どうやらお店の雰囲気なんかより、好きなビールが飲めりゃ良いらしい


と、言う事でその辺の大衆居酒屋で飲みとなる

      [ぷはぁ〜〜w♡]

ビール好きなだけあって、ずっとビールを飲み続けている

居酒屋で飲んで、良い感じに酔ってきたのだろう

次のお店はKさんの行きつけのスナックへ行く事に

こんな所を入っていくの?な、場所にそのお店はあった

入るや否や

Kさん
[ママ!ビール!!]

…どんだけ飲むのこの人

お酒好きなのは結構だが、この辺から呆れてくる

そこに金髪アフロ風なママが

 [ごの娘はざ、良い子だがらざぁ〜よろじぐね]

酒やけした
しゃがれた声で言われる

   (よろじぐね言われても…)

  [あぁ…はぁ…まぁ…そうですね…w]

苦笑いしながら、その場をやり過ごす

何してもケラケラ笑っている、酔い酔いなKさんと
金髪アフロママがキャッキャ話しているのを冷静に眺めながら

      (…もう帰りたい…)


俺も飲んでいる筈なのに何故か酔えない

もう少しKさんと話したいとか

もう少し一緒に居たいとか

もっと彼女の事を知りたいとか

そんな事は一切、微塵も、これっぽっちも、1ミリも思う事なく

この時点でKさんに対して

         [なし]

と言う判断が下る

こちらサイドで、そんな判断されている事を知らずに
金髪アフロママとKさんはケラケラ笑ってる

ようやく帰れる事となり、フラフラと歩き始めるKさん

駅前のタクシー乗り場までフラフラ千鳥足で歩き始める

少し歩き始めてから、Kさんが振り向いたと思ったらいきなり俺の首に手を回してきた!!

       [むむ〜ん♡]

このままではキスされる?!

何でだろう??とにかくしたくない!!

そう思っている間にも俺の顔に彼女の顔がぐんぐん迫る!

その距離
約20cm
15cm
10cm
5cm
3cm
1cm

異常接近!

緊急回避!!

チッ!…僅かに唇が触れた?!


[はい!もう帰るよ!]

Kさん
[ふにゃ〜ん♡]

何とかタクシー乗り場まで着き、彼女をタクシーに乗せる

フラフラで呂律が回ってない様子のKさん

大丈夫?の俺からの問いかけに

Kさん
[らいりょうぶ、らよ〜]
(大丈夫だよ〜)らしい

そんな彼女の様子を見ていたタクシー運転手
不安そうに

[お付きの方です?
この方本当に大丈夫です??]


[本人が大丈夫言ってるんで良いんじゃないですかね?]
(知らんけど)

もうとにかく面倒くさいし、さっさと彼女に乗ってもらい走り去って行くタクシー

タクシーを見送る事もなく、さっさと俺も帰る

その日から連絡は向こうからは来ないし、俺からもしない

たった一つ彼女から得た事は

    [酒は飲んでも飲まれるな]

俺も頑張るからお互い頑張ろう

…あれから時は経ったが、あの調子で今も男性に呆れられてなければ良いけど…

     [ ビールの女 完 ]







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