婚活9 切ない男

Mさんと次会う時はどんな顔して会えば良いのやら

彼女に子供が居ても構わず交際を申し込むのか…

申し込まないのか…

申し込んでOK貰えたとしても、その後はどうする…

結局、お子さんがいる方とはちょっと…

な、結果になるのなら今日はっきり伝えた方が…

あれこれ考えている内に食事を約束した日を迎える

緊張しながらもM市で待ち合わせしている駐車場に少し遅れて到着

電話して自分の車の特徴を伝えるとMさんが気付き、小さく手を振りながらこちらに小走りで駆け寄ってくる

子犬みたいで可愛い

あれ？以外と彼女は笑顔だ

俺
　　　［ごめんっっちょっと迷った］

Mさん
　　［良いよ wここからは私の車で行こっか］

彼女の運転でお店に向かう

運転に集中している女性の横顔ってのは好きだ

久しぶりに女性の車に乗ったわ
良い匂いする

車内では、いきなり核心をついた会話はせずに、他愛の無い会話をしながらお店に向かう

Mさん
［今日ね？会社の後輩の子から
［先輩、良いですか？初めての食事は少し遠慮し　て食べるものですよ？］
　って言われてきた w］

俺
［え？折角の焼肉だよ？食べないんだ？］

Mさん
［え？いっぱい食べますけどw?なにか？w］

俺
［後輩のアドバイスは無視かいw］

Mさん
［ だってお腹空いたしw w w］

緊張が解けて自然と会話出来てる

この人を好きになりそう

ある程度食事が進んだ所で大事な話しを始めた

聞けば小学6年生の息子が居るそうで

逆にその息子君から
［お母さん彼氏くらい作りなよ］
と言われ今回参加したらしい

で、俺と知り合ったって訳

でも…今後の事を色々と考えた結果、どうしてもお子さんが居る人とは難しいです
プロフィールをしっかり見てなかったばかりにMさんに迷惑をかけてしまった
申し訳ないです

と、彼女に伝えると

Mさん
［うん、あの日電話した時の反応で何となくそんな気がしたw］

今日会うまでMさんはどんな心境だったんだろうか
俺に気を遣ってくれたのだろう
割と明るくサッパリと言ってくれた

まぁ…焼肉屋でする会話じゃ無いよね

2人で笑う w

その時の俺は苦笑いだったかな

お子さんが居なかったらこの人と本気で交際を考えていた

食事を終え、待ち合わせだった場所まで彼女の運転で帰る…

…のかなと思いきや

Mさん
　　　［ちょっと遠回りしよっか］

と、言いながら街並みが見える丘の上に到着

自分の一方的な理由で交際は出来ない訳だし

自分のミスで彼女に迷惑かけてしまった訳だし

これ以上彼女と居ても辛いから帰りたかったけど

静かに音楽が流れている車内

彼女はシートベルトを外し、シートに体育座りしている

Mさんも、自分と会うのがこれが最初で最後と気付いているはず

その時の彼女の表情は遠くの街並みを見つめる瞳がうっすら潤んでいた様な…

Mさん
［もう〜次はちゃんとプロフィール見てくださいね w！］

と、軽く俺の肩を小突く

俺
［本当ごめん］

そんな会話をした後、駐車場に戻って来た
Mさんを見るのはこれが最後になるだろう

見送る俺に

彼女は小さく手を振って帰路に帰っていく

こうして俺の初カップリングは幕を閉じた

あれから何年か経った

今はどうしているのか分からないが、良い人見つけて幸せになっていて欲しいと願う

つづく