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2021年につくった同人誌の装丁まとめ
今年は本を出したい!と思えるくらい好きなものができて、また色々なことを試したりした年だったので、装丁の詳細を備忘録がてらまとめていきます。豆本・ミニ本も含めて全部で6冊です。
花の名前
![](https://assets.st-note.com/img/1640740120927-JREW26tyfq.png?width=1200)
発行日:2021/4/11(傷の痛みと甘い疼き)
表紙:ディープマットインディゴ180kg、金銀インク2色刷り
扉:クラシコトレーシングに金インク刷り
本文:美弾紙ノベルズ
印刷:表紙はプリンパ、本文・製本はブロス
ひさびさに出した本だったのと、このときは「1冊くらい記念につくれたらいいな」という心境だったので念入りに試し刷りをすることにしました。
色々な印刷所で試し刷りをしたり、トレーシングペーパーの扉を別注したり、本のイメージにあわせるために奮闘した記憶があります。
ブロスさんの製本がすごく好きで、今回もきれいにつくっていただきました。オンデマンド印刷ですが、本文もマットできれいなところがお気に入りの一冊です。
試し刷りをした記録はこちらから。
すてきな西の魔法使い
![](https://assets.st-note.com/img/1640740185228-OtsWjlCKBG.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1640740191190-TueV7KBduo.png?width=1200)
発行日:2021/5/30(超賢者のマナスポット2021)
表紙:ミランダしんく160kg、白トナー1色刷り
扉:トレペホワイト、フルカラーCMYK
本文:淡クリームキンマリ
しおり:コート紙に香り印刷(チョコレート)
印刷:本は日光企画、しおりはサンライズ
赤がキーカラーになるお話だったので、日光企画さんのホワイトオンデマンドセットを利用し赤が映える本にしました。自分で作字したタイトルがお気に入りです。
ホワイトオンデマンドセットは単色刷りの価格で凝った印象の本をつくれるので、比較的薄めの本をつくるときによく利用しています。
タントと迷ったのですが、ミランダが廃盤になったと聞き一度は使ってみたかったのでミランダしんくを表紙に。
日光企画さんのオンデマンド本文印刷機が変わったとのことで、すごくマットできれいな刷り上がりの本文でした!
![](https://assets.st-note.com/img/1640740218011-rSkPZRIsh9.png?width=1200)
この本のノベルティに本に合わせたチョコレートの香りがするしおりをつくりました。
記録はこちら。
HELLO, WORLD
![](https://assets.st-note.com/img/1640740239668-1E2lkNxW5f.png?width=1200)
発行日:2021/6/6(北の矜持)
表紙:オリジナルエンボスサンバ(クリスタル)、フルカラーCMYK
本文:コミックルンバクリーム
印刷:ホープツーワン
ミニ本1冊目。友人が主催しているWebオンリーあわせでなにか本をつくりたい!と思いつくりました。
手のひらサイズのミニ本ははじめてつくったのですが、ちゃんと手に取って読めるところが気に入っています。
ミニ本をつくった記録はこちら。
また、このときのイベントにあわせておしながきサイトをつくる試みもしてみました。これ以降Webオンリーに出るときには毎回このサイトを使っています。
あなたのことが大嫌い
![](https://assets.st-note.com/img/1640740284831-EwJLVoGneO.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1640740292098-D1j6OVYsg7.png?width=1200)
発行日:2021/9/19(賢者のマナスポット3)
表紙:シャインフェイス180kgシルバー、フルカラーCMYK、マットPP
箔押し(透明ホロHK038)、トレペ遊び紙差し込み
本文:メヌエットライトC
印刷:あかつき印刷
自分のなかで気合をいれたつもりの本だったので、特殊紙マットPP+透明箔+トレペ遊び紙と装丁を盛ってみました。透明箔は砕け散るようなシルエットで入れて、登場人物の「心が砕け散った」様子を表しています。
本のなかで冷たい国のオーロラが出てくるのですが、それを表すためにシャインフェスシルバーを選び、虹色のテクスチャを入れました。
メヌエットライトCは聞き慣れない本文用紙だったのですが、美弾紙ノベルスによく似た手触り・質感の紙でした。
本文の刷り上がりはブロスさんと比べるとちょっと細まる印象。でもどちらもきれいです。
Fullmoon Lullaby
![](https://assets.st-note.com/img/1640740331471-crMJAr2oNQ.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1640740339641-t6reA27bgX.png?width=1200)
発行日:2021/11/28(賢者のマナスポット5)
表紙:里紙170kしろ、フルカラーCMYK、マットPP
遊び紙:てまり朱90kg(前後)
本文:ナチュラル
ホープツーワンさんの秋セットを利用しました。ホープツーワンさんは季節にあわせて珍しい紙や仕様を用意した季節フェアがあるところが好きです。ずっと使ってみたかったてまり朱に合う仕様を考えてみました。
「日常」がテーマだったので、ふわっと優しい手触りになるよう紙を選んでいます。ナチュラルはちょっとラフめな紙なので、オンデマンドでもマットな質感の印刷になっています。
すみれとシュガー
![](https://assets.st-note.com/img/1640740361315-ksRAZXVlco.png?width=1200)
発行日:2021/12/4(北の矜持2)
表紙:ホワイトポスト180kg、ねこじたマットPP、フルカラーCMYK
本文:星の紙クリーム
印刷:しまや出版
ミニ本2冊目。前回はホープツーワンさんだったので、今回はしまや出版さんにしてみました。ねこじたマットPPというしまや出版さん独自の加工で、さらっとした手触りが印象的な本になりました。
24Pとちょっと薄めだったので、基本用紙から星の紙に変更可能かと伺ったところで、オプション料金で変更できました。
![](https://assets.st-note.com/img/1640740382469-oe9Q5BIfqo.png?width=1200)
噂のねこちゃんの帯ですが、ミニ本でも健在で驚きました!かわいい〜…!!届いてから何度も見返してしまいました。
本をつくる以外にも色々
友人との共同作業
本のデザインと装丁を全部考えさせてもらったり、同じ曲から連想して本をつくったり、自分の本をつくる以外でも楽しいことをいっぱいできたな!という一年でした。
「自分の同人について」をまとめた
ふだん表紙をつくるときにこんなことを考えているよ、だとか、どんなことを考えて原稿に取り組んでいるよだなんてことをまとめてツイートしたりもしました。
普段デザイン表紙をつくるときにこういうこと考えているよ〜なことをまとめてみました。一例として見てもらえたらうれしいです! pic.twitter.com/vH5kElaHCl
— nana (@kissincitrus) September 21, 2021
早割で入稿するのが1年くらい続いたのでふだんこういうこと考えて原稿してるよ〜なことを軽くまとめてみたりしました。一例として「ふーん」くらいな感じで見てもらえたらなと…🌟 pic.twitter.com/qG6kSUxfBp
— nana (@kissincitrus) June 14, 2021
特に原稿の進め方については広く見ていただけたようでうれしかったです。この頃と今だと生活のサイクルがちょっと違ってはいるのですが、原稿のやり方やペースについては今も変わりません。
わたしにとっての「同人誌」
大好きなキャラが「こういうことをしてくれたらいいな」「こういうことがあったらいいな」を願望として叶えるために同人活動をしています。
なので、メインはお話……だと思うものの、書いているあいだはずっと悩んでしまうし、不安になることばかりです。それでも書くのは自分の願望を完成させたいからで、実際出来上がった際にはとってもうれしい。なので、時間や願いや気持ちを費やしてつくったお話にリボンをつけてあげるようなつもりで、本をつくるし、装丁を考えています。
その料理がほかのだれかにとって美味しいかはわからないけれど、できることならよりよいかたちで出してあげたい。わたしにとって本の装丁を考えることは、料理にあったお皿を選ぶような気持ちに似ているのかもしれません。
紙の質感だったり、表紙の色だったり、扉のテクスチャだったり…本文の情報以外でも手に取る人にお話の行間を伝えられるところが紙ならではなのかなと思います。
ここに載せている本はどれもオンデマンド印刷ですし、あまり部数は刷っていません。さまざまな印刷所のメニューを見るのが個人的に好きなので、予算の範囲内で自分の本に合うリボンを毎回探しているし、毎回刷り上がりを確認しながら「こうすればよかったな…」とひっそり後悔してもいます。
こうしてまとめてみると紙やPPを今まで使ったことないものにしてみたり、箔押しをしてみたり、今まで自分がやったことのないオプションをつけてみたらどうなるかな?と考えてワクワクしたことや、実際やってみてどういう質感になったのかなどを思い出して、ひとつひとつが大事に思えます。それでも、装丁・お話どちらも100点満点!といえるような本はまだつくれたことがないような気もします。それくらい、お話を考えるのも、書くのも、本をつくるのも奥深くて、だからこそ楽しい究極の自己満足なのかなと。
あと本は「ずっと残る」ところが好きです。いま抱く好きなキャラに対する願望っていわば水物なので、その「好き」が消えないうちに形にしておくと、いつか「好き」が落ち着いても「好き」の気持ちをいつでも手に取ることができるところがいいなと。Webの場合データを消してしまうとすべて消えてしまうので…それがいいところでもあるのですが。
本の仕様や装丁を考える上でnoteやTwitterを参考にすることが多かったので、わたしもだれかの参考になれば…!と今年からnoteやTwitterで自分の同人活動について発信してみるようになりました。
予想以上に「見たよ」「参考になる」と教えていただくことが多く、書くことにしてよかったです。
予算やページ数によってはあまり凝れなかったりするので、最低限の仕様にしてみたり。逆にページ数がある本は、表紙や扉を試し刷りしたり、別注してみたり。予算やスケジュールが許す範囲でお話に合う紙を選んだり、オプションをつけるのはとても楽しいので(もちろんお話を考えるのも書くのも!)今後もマイペースに同人活動していきたいです。
今は5月のイベントで本をつくるためにゆるゆるお話を書いています。絶賛悩み途中な今日この頃ですが、今手元にあるお話にちゃんとリボンをかけてあげられるまでがんばっていこうと思います!
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