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表紙の用紙と箔押し加工についての話

本記事はBL(成人向け)を扱う同人誌・二次創作について記載しております。

同人誌をつくるときに用紙に何を使うか考えるのが好きなのですが、いただいたメッセージを見てたしかに色々悩むよな〜なんて思い、知ってる限りのことをメモしたくnoteを書いてみることにしてみました。

noteを書くきっかけのメッセージ

waveboxにいただいていた内容はこちらです(引用×だったらなんなりとお知らせください〜!)

聞く相手がわたしでいいのか…!?と思いつつこういう風に聞いてもらえるのうれしいです!同人誌を出したい人のことが大好きなので…♡というわけで、以下の2点で記事を書いていこうと思います。

・分厚い本(200P越え)の場合の紙選び
・箔押しをするときに相性が良さそうな紙

表紙を厚くすると読みにくいのか

本を開くときには、必ず元々閉じているものを左右に引っ張る力が働きます。
図にすると以下のような感じです。

本を開いたときの図

ページ数が多い本はそれだけ引っ張られる紙の数が多いぶん、表紙用紙が分厚ければ分厚いだけ「開きにくい」と感じてしまいます。
と、いうのがご質問に対するシンプルな返答ではあるのですが、実際のところ「どんな紙を選んだらいいの?」というのが疑問になるのではないかな〜と思い、この話の続きをしてみます…!

わたしが文庫サイズの本をつくることが多いので、文庫本前提にします。
200P越えの分厚いの本の場合、個人の感覚としては160kg〜180kgくらいの厚さの紙なら問題なく読めるのではないかな、と思っています。

各種印刷所が基本用紙として用意しているアートポスト等の紙なら大抵その厚さだと思うので、迷ったらその紙+PPなどにするのが安牌です。フラットな紙にPPを貼るのが一番経年劣化には耐えられる最強の仕様なので…!

なんだかんだ、色々試してアートポストにPPを貼るのが一番「本」っぽくていいよね〜…!と常々思ったりします。とか言いつつ、せっかくなので違う紙選んじゃお…と思うのも同人誌の楽しいところだったりするのですが…;)

たとえばこの本は表紙にシャイナー雪120kgを使っているのですが、用紙はかなり薄目で、多少読むと折グセがついたりよれたりする仕様です。この仕様は個人的には気に入ってはいるのですが、せっかくつくった本の表紙が傷つきやすいのはちょっとな…と思われる方には不向きかもです。

わたしの経験上、100Pくらい本でも文庫サイズでキュリアスIR206kgパールを表紙にした本は「ちょっと開きにくいかな〜」という感覚がありました。が、友人がつくっていたキュリアスIR206kgホワイト+クリアPPの本はA5サイズだったからか、問題なく読めたので、版面が小さいもののほうがより上記くらいの紙の厚さにしたほうがいいのかもしれません。

そもそも用紙の厚さとは

用紙の厚みがなぜどの印刷所も「kg」表記なのか、という話も付け加えます。
単位が「kg」なのは、その用紙を1000枚重ねたときの重さで表しています。なので、たとえばアートポスト180kgは1000枚重ねたときに180kgになる紙、という意味です。これを「斤量」と言ったりします。
なので、紙の種類によって密度が違うので、斤量=厚みではなく、斤量で大体の分厚さがわかる(けれど一概には言い切れない)という様子になります。

例外の例としては、栄光さんが基本用紙として扱っている「スターアートボード19.5kg」や、日光企画さんがおなじみスモーキーフェアで用意している「地券紙16.5kg」なんかが挙げられそうです。
どちらも軽い用紙ですが、実際は分厚くて硬い紙の印象です。

これは表紙だけでなく本文用紙も当てはまる話で、淡クリームキンマリに90kgと72.5kgがあるのは72.5kgのほうが紙が軽い=紙の質は一緒=であれば72.5kgの方が薄い、と判断できる、ということになります。

実際の厚みは用紙を見てみるのが一番早いので、気になるものがあれば印刷所の用紙サンプルを取り寄せてみるのがおすすめです〜!

箔押しについて

箔押しのおすすめ…と思って考えていたのですが、わりとさまざまな紙が合うのでは〜と思っていたりします。
シンプルに基本用紙+クリアorマットPPでも型を押して凹ませる分質感が変わって目を引く印象です。のですが、わたしがやったことがある箔押しの装丁をいくつかラインナップしてみます。

ミランダ+マットPP+銀箔押し

これは一番最近出した本の仕様で、書き込みの多い写真の上にタイトルをのせているデザインになっているので「普通に白文字のタイトルでもいいけどもう少しなにかしたいな〜…」と思ってタイトル文字を銀箔にしています。
この本はブロスさんに刷っていただいています。

タント+金箔押し

タント130kgH-70という紺色の紙に、箔押しをのせたものです。もともとPICOさんの満天の星座フェアを使いたくて作った本なのですが「タイトルだけちょっと違う色合いにしたいな〜」と思い、箔押しを勧めていただきこのような形になっています。

こちらの本はPICOさんのサイトにも載せていただいて、そういう意味でも思い出深かったりします。素敵な仕様の本がたくさん載っているのでこちらもぜひ覗いてみてください〜!
http://wazaaripicoq.blog.fc2.com/blog-entry-24.html

OKムーンカラー+空押し

こちらは箔押しではないのですが、気に入っている加工なので載せてみます。空押しとは色のついた箔は使わず、箔押しで使う型を熱を使って押すだけで凹凸をつける加工です。

と、文字だけで言ってもわかりづらいので……そもそも箔押しってどうやってやるの?という話になるのですが、以下のような形で凸版をつくり、ホイルを挟み箔押しをします。なので、空押しはこのホイルがない状態の加工を指します。

ブロスさんWebサイトより引用

ブロスさん:「箔押」ページ

で、その空押し加工をすると加工をした部分が半透明に透けて見える「OKムーンカラー」という紙を使っています。なので、この本は遊び紙に蛍光ピンクの紙を挟んでいるのですが、押した部分だけうっすらその色が透けている…という仕様になっています。
ホープツーワンさんの「スロットセット」を使用しています。「OKフロート」という紙も同じ効果ができる紙です。

ホープツーワンさんは箔押しやOKフロート・OKムーンカラーのサンプルを配布されているので、気になる方はぜひ見本を取り寄せしてみてください。ホープツーワンさんの箔押しは細い線も再現度が高くて好きだったりします。

以上、いつもどおりの記事の長さになってしまったのですが…なにかお力になれるところがあればうれしいです〜!

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