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何かを始める時は早い方が良いとは限らない

新しいビジネスを始める
新しいことを勉強する
運動やスポーツを始める
生活習慣を変える
転職や独立をする
投資を始める

などなど、人生では誰しもが、何かをきっかけに新しいことを始める機会が必ずある。新しいことを始める時には可能な限り早い時期から始めた方が有利だと考えがちだけど、遅く始める方が有利な場面も結構多いのではないかと思う。

リープフロッグ現象という言葉をご存じでしょうか。
簡単に言うと、新興国が既存のテクノロジーを導入する前に、一気に最新のテクノロジー導入することで飛躍的に発展を遂げる現象のこと。

例えば、ドローンを使って荷物を配達するテクノロジーやサービスを提供したいとする。日本の場合国全体で既存の交通インフラが整備されているため、街中でドローンを飛ばそうとすると様々な問題にぶつかる。本気で実現しようと思うと、おそらく法律の問題や現在の設備や仕組みとどう折り合いをつけていくのかといった面倒な議論や手順が多く必要になってしまう。

しかし、日本ではなくアフリカで実現する場合で考えると話は変わってくる。アフリカはインフラ環境が整っていない地域が多く存在しているため、ドローンを使ったビジネスを展開しようとしても大きなハードルがなく、日本に比べるととても実現がしやすくなる。つまり、新興国では、先進国で当たり前に存在しているインフラ環境が整っていないが故に、最新のテクノロジーを導入するハードルが低くなる。そういう国や地域は既存の仕組みによるしがらみがないため、簡単に最新テクノロジーを導入することができ、結果として一気に技術的な発展を遂げることができる。これがリープフロッグ現象と呼ばれるもの。

この現象から学べるのは、現時点で周りから遅れを取っている状態だとしても、後から始めることで逆にそれが有利に働く場合もあるということ。

これは日本国内で新しくビジネスを始める場合や、個人で何か新しいことを始める場合も同様に考えることができると思う。

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私は仕事でプログラミング研修の講師をすることがあります。その研修事業自体は10年以上前から存在しており、(私が関わったのは3,4年前から)研修で使用する教材はほぼ全てがパワーポイントで作られている。何度か研修をやっていると、教材がパワポであることに不便を感じるようになります。パワポはプレゼン資料作成ソフトなので、人前で話すときにプロジェクターで映す資料を作るという点では優れている。だけど、1スライドに詰め込める情報量はどうしても限られてしまうので、プログラミングの教材を作るという観点では向いていないことが分かりました。

10年以上前に研修事業を開始した当時は、パワポで作るという選択肢は有効な選択肢だったかもしれません。ですが、現在ではプログラミングの教材を作るのに適しているツールや仕組みはたくさんある。仮に今私が全く新しくプログラミングの教育事業を開始するとしたら、教材をパワポで作成しようとは絶対に思わないでしょう。

今から別の仕組みで教材を作るという選択肢ももちろんありますが、既に多くの教材が存在しているので、それを全て捨てて新しく作るのはコストがかかり、組織の中で賛同する人も少ないです。

つまり、新しくビジネスを始める場合、始める時期が遅い方が新しい技術やサービスを使うことができ、最初から質の高い製品やサービスをつくれる可能性が高いのです。

当然、高度な技術や新しい技術を使ったとしても、使う人の技量がなければ質の高いものは作れない。また、参入するのが遅ければ遅いほど競争相手が多くなるので、その分マーケティング戦略や営業スキルのハードルは上がる面もあるでしょう。なので、成功率が上がるかどうかは分かりません。むしろ成功率は一般には参入が遅い方が低くなるかもしれません。ただ、遅く始めることで有利に働く面もあるということは知っておいて損はないでしょう。

この話は新しくビジネスを始める時の話ですが、何か新しいことを勉強する場合でも同じことが言えると思います。

プログラミングの話ばかりで恐縮ですが、プログラミングを勉強しようと思うと、昔は書籍を読むか分かる人に教えてもらうぐらいしかまともな勉強法はなかったかと思います。環境構築を自分でやろうと思うとハードルが高く、挫折する人も多かったことでしょう。今現在は解説が分かりやすい書籍も充実しており、新しい情報もインターネットで検索すればすぐに見つけられる。ProgateやドットインストールのようなWeb上でサクッと学習できるコンテンツやサービスも充実している。勉強に関しても、始める時期が遅い方が教材や学習環境が充実しているため、やり方次第では効率よく学習が進められます。

スポーツや楽器のような、身体を使って練習しながら身につけるものに関しては、基本的に若い時から始めたときの方が有利でしょう。ですが、これも時代が進むことで画期的な練習方法や練習道具が開発されれば、後から始めた人が早くに始めた人を追い抜くことも珍しくなくなるでしょう。

何か新しいことを始める時には、その分野における最新の動向や情報をチェックしてみると良いでしょう。そうすると遅く始めたことがメリットになる場合もあります。

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