見出し画像

エッシャー的な/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(24.4.7-24.4.13)

今週も国内の移民方面報道は良くも悪くも通常運行で、目についたのはUKの就労ビザ厳格化が稼働はじまった、という件でした。

就労目的で渡英するには一定の年収をクリアしていることが必要で、その条件がこれまでの年収480万円から年収720万円に、ということなんですけど(発表時の報道は下記参照)人手不足だから来てくれ。と言いながら、来ていいか悪いかを決めるのはホストの俺たちだから。っていう本邦でもおなじみのムーブ。
こういう記事を読んでいると人間に本来備わっている善性、みたいな共同幻想を早く捨てないとダメでは。って顔になるんですよね。

■日本でもおなじみ、と申し上げましたが、たとえば「来てくれ」系のニュース

■来てくれとは言ったがヘイトをぶつけて良いかどうかも判断するのは俺たちだから

この同じ日の同じ事象を、NHKは下記のように伝えています。

奥ノ木市長は「財源も権限もおろさず情報も流さない国の対応は困る。市が行っている人道的な支援に対して国が手当てして欲しい」と要望したことを明かしました。
その上で「クルド人と敵対しているわけではないが、違法行為をきちんと線引きしないと住民からの苦情は止まらない。改正入管法の施行後、抜本的な改善が進むのか見守っていきたい」と述べました

産経新聞はこう。

市内で国会議員らが「一部の外国人による迷惑行為のある地区」を視察。その後に市や市議、入管庁との意見交換会が開かれ、終了後に参加者らが報道陣に明らかにした。

明らかにしたのが何か、というと記事の冒頭で華々しく書いているやつね。

難民認定申請中で入管施設への収容を一時的に解かれた不法滞在状態の「仮放免者」が、埼玉県川口市内に700人程度いることが13日、出入国在留管理庁のまとめで分かった。大半はトルコの少数民族クルド人とみられる

ふーん。と一応思うわけですが、続けて

仮放免者の情報はこれまで、本人が希望しない場合は当該自治体へ通知されず、自治体にとって実態把握が困難だった。

とあり、何、今回は川口市が入管庁に要請したわけ? って数字の出どころというか、この報道根拠が気になるんですけど、結局「終了後に参加者らが」言ってた、というだけで、つまり参加者と産経の息ピッタリですね。
ぐらいの感想に留まるんですよ。
なお「クルドの都合悪い話は伝えない」と他社にぶんむくれて失笑されていた産経新聞さん、クルド界隈ニュースには敏感なはずなのに下記についてはノータッチで相変わらず分かりやすいです。

■個人的に今週いちばん良かった記事は、それこそ「来てくれ」と言われたから来てみたひとたちが自力でなんとか道を切り開いている、という話でした。

夜の街というと、眉をひそめる人も多いだろう。しかし「歓楽」はいつの時代も必要とされてきたし、そのかなりの部分をフィリピン人女性が担ってきた。そしていまは介護など人手不足の分野を支える。彼女たちは昼も夜も、そして時代が変わっても、日本人の面倒を見続けてきた存在でもあるのだ

■今週のその他ニュース

最後の南大東島の件、いつもの「人手不足だから海外から人を呼びます」だろ、と読み始めたら日本政府の沖縄産業界へ向ける視線の冷ややかさが浮き彫りになって、ああ、なるほどウチナーンチュvsヤマトンチュって構造の変異体でもあるんだな、いまの川口。と無事に理解が循環しましたよ。どっとはらい。

サムネイルはエッシャー作「鳥と魚」(部分)
HenkvD, CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?