見出し画像

子どもと大人の睡眠はここまで違う?新しい子ども用の式ができたので比較してみた。

子どもの睡眠と一口に言っても千差万別ですが、子どもって気づいたら転がって布団の外に出てしまっていたり、布団をはねのけてお腹を出して寝ていたり、なんてことありませんか?
自分の子ども時代も思い返すと、なんでこんなところで寝てるんだ?となるようなところまで転がっていたことが幾度もありました。

弊社製品であるSleepSign-Actでは、睡眠中の動きを「活動量」としてとらえ、その大小にて睡眠を計測しています。
こちらの製品は、これまで成年を対象とした睡眠判定式しかありませんでしたが、このたび小学生~中学生に向けた新しい睡眠判定式を搭載いたしましたので、弊社社員のお子さん(7歳)協力のもと、どのような違いが出るのか比較していきたいと思います。

(睡眠営業担当:K)

SleepSign-Actについて

弊社製品には、SleepSign-Actという体動の大小から睡眠状態を推定するソフトウェアがあります。
以下の画像のように、就床時刻・起床時刻・その間の睡眠/中途覚醒を推定します。

睡眠判定式

睡眠/中途覚醒は体動をもとに推定されており、その判定式は以下のようなものになっています。

睡眠判定をする時点とその前後2点、計5点の「活動量」に対しそれぞれ係数をかけて睡眠を判定し、さらに①、②のようなフィルターをかけることによって高い判定率を出しています。
この「活動量」は単純に言うと「体動の大きさ」となります。
そのため、大人と子どもの睡眠様相の違いから単純に成年用に作られた式を子どもに当てはめるのは難しいのではないかと考えられていました。

新しく搭載された小・中学生用判定式

2022年10月、小中学生を対象とした新たな式が論文発表されました。
Validity of an algorithm for determining sleep/wake states using FS760 in school aged Journal of Physiological Anthropology (2022) 41:29

その新しい判定式がこちらです。

活動量にかける係数を調整し、また成年用とは違うフィルターをかけることで高い睡眠判定率を持つ式となっています。
論文では、この調整により小・中学生に対しての睡眠判定精度が向上したとありました。

それでは実際に収録した7歳の男の子のデータにそれぞれの式を当てはめていきましょう。

それぞれの判定式にかけた結果

頂いたデータに成年用判定式、小・中学生用判定式を適応してみました。

成年用の判定式を適応した睡眠相
小・中学生の判定式を適応した睡眠相

比較してみると、明らかに黄色(中途覚醒)の量が変わっていることがわかりますね。

さらに細かく見ていきます。

判定式比較

赤丸:中途覚醒量の変化

成年用で判定した時と比べ、中途覚醒(赤丸部分)が減っていることがわかります。
小・中学生用判定式ではより少なめの係数をかけることにより、睡眠中の動きを許容するような式となっているため、このような結果となります。

青丸:起床時刻の変化

青丸部分では起床時刻(=目が覚めた時刻)に大きな判定の差があります。
この原因を確認するため、拡大して見てみましょう。

青丸部分を拡大

小・中学生用の式を当てはめた場合、一番右に少し睡眠(=水色)が表れていますが、これもやはり活動量へかける係数が変化することにより、生じた変化になります。
この変化により最後に少し睡眠と判定され、成年用では「目が覚めている」と判定されていた部分(白色)が「中途覚醒+睡眠」(黄色+水色)と判定されるという結果となりました。
起床時刻は最後に睡眠と判定された時刻を参照するため、このような状況下では50分程度差が生まれることになります。

睡眠変数(7日間の平均値)

平均睡眠変数の比較

最後に数値で比較していきます。
今回のデータで特に顕著に差が表れた部分に色を付けてみました。
二つの判定式による結果の違いを見比べると、小・中学生用判定式を用いたほうが全体的に睡眠時間は長めに判定され、中途覚醒も短くなっています。
睡眠効率も上がり、印象の変わる結果になったと思います。

まとめ

こんなに変わるのであれば、やはり成年用判定式を小・中学生に当てはめるのではなく、小・中学生専用の式を適用させることでより正しく小・中学生の睡眠を理解できるようになると感じました。

また、肌感としてあった「子どもって寝てる時にごろごろと動くよなぁ、でも中途覚醒っていうのとは違う気がする…」と思っていたことが、小・中学生用の式で解析することでイメージに近づいたので、納得とともに少しほっこりしました。
これから寒くなりますし、布団から転がっていかないように気を付けていきたいですね。

おまけ

ちなみに、大人のデータを小・中学生用の判定式に当てはめると下記の様になります。

社員Tのデータで比較

中途覚醒(=黄色)がほぼ感知できなくなっていますね。これでは意味がないので、やはりそれぞれにあった算定式を使う必要があると感じました。

今回計測に使ったシステム

睡眠/覚醒リズム研究用プログラム SleepSign-Act

※ 製品・ブログ等に関するお問い合わせは、上記リンクページ下部の「お問い合わせ」よりご連絡ください。


いいなと思ったら応援しよう!