キッササカモトとカフェインレスコーヒー
この間からカフェインレスコーヒーを探しているのだけど、なかなかこれというものを見つけられていない。
調べてみると、2012年の少し古い記事ではあるが、Natureダイジェストの記事を見つけた。
カフェインレスコーヒーの風味が通常のコーヒーと異なる理由
記事には、以下のようなことが記載されていた。
1. 現状の技術では、収穫したコーヒー豆からなんらかの方法でカフェインを取り除く必要がある。(カフェインの含まれないコーヒーノキの栽培は難しい)
2. 現状の技術では、コーヒー豆からカフェインだけを取り除くことは困難であり、味や香りに寄与する他のたくさんの成分も同時に取り除かれてしまう。
コーヒー豆からカフェインを取り除くのが難しいのであれば、カフェインが含まれていないコーヒー豆を作出すればよいと考えるのは自然で、ずいぶん長いことそういう研究は行われてきたらしい。
例えば、遺伝子組み換え技術や、昔ながらの交配法によって、カフェインを含まないコーヒーノキの作出が研究されてきたが、商業的に成り立つ品種はまだ作出されていないらしい。
カフェインを含まないコーヒーノキ作出が難しい理由
記事には、以下のようなことが記載されていた。
1. カフェインの生合成経路には、たくさんの脇道があり、遺伝子組み換えでカフェイン生合成の経路を一つを潰しても、何もなかったように別の経路からカフェインが合成されてしまう。
2. カフェインは苦味があり、天然の殺虫剤として機能する。つまり、病害虫からみを守る役割をもっているので、運良くカフェインが少ないコーヒー豆が作出できても、病害虫に食べられてしまうなど、上手に育たない。
論文レベルでは、カフェイン含量の少ないコーヒーノキが報告されているが、いまのところ、市場には出回っていないらしい。
研究室では栽培できても、上記したような理由で商業化が困難なのかもしれない。
コーヒーノキにとっては、カフェインが相当重要な役割を持っていることが伺えて、とても興味深く思う。
上記の記事は、2012年の記事なので、技術開発は進んでいると思うが、カフェインを取り除く技術の基本は変わっていない。
比較的新しい遺伝子組み替え技術「CRISPR」を使えば何かできそうではあるが、今となっては、遺伝子組み換えしたカフェインレスコーヒーは市場に受け入れらないかもしれない。
最近のカフェインレスコーヒーはかなりおいしいとは思うが、通常のコーヒーと比較すると少なからず味や香りに違いがある。
研究としても興味があるので、進捗を楽しみにしたい。
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