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タバコやめたい。やめたくない。

 私ごとですが、この度禁煙に成功しました。たぶん。
今年の1月末に何度目かの禁煙を決意して今7月なう、もう半年もタバコ吸ってないです。私すごい。やればできるじゃん。

 喫煙をはじめた大学時代、タバコは一箱300円くらいだった。確か。1番最初に吸ったタバコはピアニッシモ1mm。バイトでイライラしてて吸ってみようかと思ったのが始まりだった。
 その頃タバコというコンテンツは、過渡期の入り口だったかもしれない。タバコを吸ってて悪ぶってる、いわゆるヤンキーがモテる時代から脱却しつつあった。中学生のときは学校のトイレでタバコを吸うようなヤンキーがモテてたから、そこから3〜4年だ。大学のキャンパスの至る所に灰皿が設置されている一方、大手のファミレスでは喫煙/禁煙エリアの分離が導入されはじめた時期だった。

 一方私は世間の波とは逆にマルメンライトに乗り換えていた。マルボロメンソールライト8mm。女のくせにタバコを吸うのかと思う人もいただろうが、直接言ってくる人はいなかった。女の子の友達も半数が喫煙者だった。
 そのうちマルメンが値上がりして、ラークのメンソールに乗り換えた。7mm。マルメンはマルメンと言えばマルボロメンソールという銘柄だということをわかってもらえるけれど、ラークマイルドメンソールは略称がなかった。だからいつもコンビニでラークマイルドメンソールってフルネームを言うのが面倒だった。ラマメとかいう言葉を流行らせればよかった。

 時は流れて社会人、私はまだラークを吸っていた。マイナータバコだからなのか、値上がりの波を受けるのが遅かった。マルメンはいつも最初に値上がりする銘柄だ。だからラークはマルメンよりも10円か20円安かった。だけどそれでも一箱400円を超えるようになっていた。

 そろそろタバコを吸い続けるのは経済的にキツいなぁ、と思いはじめた頃、そして結婚と妊娠を意識しはじめた頃、何度か禁煙に挑戦した。20代後半から30代前半。人に薦められて禁煙セラピーという本を読んだ。だけど私に効果はなかった。
 かかりつけ医に「禁煙外来を紹介してくれないか」と相談もした。先生は「禁煙外来に行けばやめられるってわけじゃない。結局は本人の意志。病院はあくまでもその補助だよ。」と私に言った。多分私にタバコをやめる固い意志がないことを見抜いていたのだと思う。私はすぐに「そっか、じゃあいいや。」と言ってその話は終わった。

 そのうち電子タバコが登場した。オリンピックを見据えてか。私も波に乗ってIQOSに乗り換えた。タバコを吸ってる人は臭いと言われたからだ。30代後半に入り、私は自分のにおいが気になるようになっていた。もうあの頃みたいな匂いはしない。汗が蒸発するときに香ったシャンプーの匂いも今はただの頭皮臭だ。IQOSは紙巻きたばこほどではないけれど、満足感はあった。紙巻きたばこが100だとすると80くらい。物足りないけど、我慢できないほどではない。紙巻きたばこと電子タバコを併用している人もいるけれど、私はIQOS一本だった。だけど電子タバコが主流になってくるとIQOSも臭いと言われるようになった。だから次はプルームテックに乗り換えた。

 プルームテックはあまりにおわないらしい。喫煙をしない友人から「全然におわないね、そのタバコ」と言われたほどだ。
だがプルームテックはIQOSよりもさらに満足度が落ちた。60くらいか。だから本数が増えた。この頃になると最早何のためにタバコを吸っているのかわからなくなっていた。

 特に美味しくもないタバコに490円も払う。私の平均喫煙量は1箱/日だったので1ヶ月で約15,000円の計算だ。アホらしいと思いはじめた。やっぱりタバコやめよう。でも今までの方法じゃダメだ。何か他の方法を考えなければと必死で脳を回転させる。そして思いついた。

 私は理屈っぽい。怠惰で頑固で口が達者。自分には甘いけれど人には厳しい。そして我慢が大嫌い。少し前に生田斗真くん主演で放送されていた「俺の話は長い」というドラマが大好きだと言えば想像しやすいかもしれない。満の言うことには共感しかない。

 まずは頭で理解しよう。タバコやめたらどんないいことが待っているか。いつでも見返せるようにノートに書き記す。
・月1でマッサージに行ける。タバコより気持ちいい。
・ステーキを食べに行ける。タバコより美味しい。
・焼肉も行ける。タバコより美味しい。
・ゲームが買える。タバコより楽しい。
・よく眠れるようになる。お布団大好き!
 これは全部私のノートに書いてあることだ。この5つ、特に1番上のマッサージは怠け者の私にとって最上級の魅惑の言葉だ。マッサージ行けるならタバコ吸わなくてもいいかぁって思えるほどに。怠け癖も時には役立つものだ。
 それからggって見つけた禁煙後におきる体の変化というサイトから大事な部分をノートに書き写す。禁煙開始20分というところに書いてある「体はダメージからの回復を始める」っていう言葉が地味にショックだった。タバコって体にダメージを与えることだったのか。

 次は我慢しなくてもやめられる方法。これは難しい。どうやったって多少の我慢は必要だろう。乗り越えられるのか。そういえば病院の先生が禁煙補助薬がどうのって言ってたな。薬使ってまで禁煙はなぁ、と思っていたけれどそんなことはもうどうでもいい。私はマッサージに行きたい。もうマッサージのことしか考えられない。

「体内にニコチンを取り込むことによって喫煙したいという欲を抑える。」ニコチネルニコチンパッチ。よしこれ買おう。早速ドラッグストアに行く。14枚入りを買う。高い。でもタバコよりは安い。そう思って自分を納得させる。乗り越えたらマッサージに行くんだ。

 家に帰って早速貼ってみる。添付文書は買う前にネットで熟読した。安い買い物じゃない。合わなかったと言ってすぐにポイはできない。
すると貼って5分も経たないうちに呼吸が乱れて心臓がバクバクしてきた。貼付した部分が大量に発汗してシールが剥がれてきている。これはヤバイ。すぐに外す。数時間後、タバコ吸いたいなと思う。また貼る。さっきと同じ症状が出る。外す。タバコが吸いたいという気持ちがなくなるどころかタバコを思い浮かべると気持ち悪いとすら思う。ニコチネルニコチンパッチ、ヤバイ。恐るるに足りる。

 3日後、ヤバさは軽減されていた。ニコチンパッチを貼っても最初の時のような症状はすぐには出なくなった。特に、朝新しいのを開けて貼って、剥がして貼って・・・と繰り返すと夜には効果が薄くなっているように感じた。そんな時はノートのメモを見る。今日は3日目。肺活量や気管支の機能が回復。運動機能が大きく回復。離脱症状が緩和されてくる時期。ここで吸ったらまた一からやり直し。体がダメージを回復するところからだ。それは嫌だ。絶対に嫌。面倒くさい。

 あれから1週間、タバコを吸いたいと思わなくなった。
ニコチンパッチはまだ7枚余っていたけれど、使わずにやめられた。1本だけお化けも出てきていない。あんなに難しいと思っていた禁煙が1週間であっさりと成されてしまった。思い悩んだあの時期は何だったのか。

こうして私はタバコをやめた。
今も吸いたいかと問われたら、吸いたい。
あったら吸うかと問われたら、吸わない。
だけど死ぬ前には1本・・・1箱くらい吸いたいな。
でもマッサージかタバコか二択って言われたら絶対マッサージを選ぶ。

マッサージって、偉大だな。

おわり。

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