インターネット上の人間の行動分析について語る with 社会科学専攻大学院生(2023.2.14)イベントレポート

こんにちは、学問バーKisi 店長の豆腐です。

今回は2/14に行われたイベント「インターネット上の人間の行動分析について語る」のレポートをお送りします。
日替わりバーテンダーを務めてくださったのは、計算社会科学を専攻しておられる素数量子さんです。

そもそも、計算社会科学とはどのようなものなのか。
計算社会科学会のホームページには、以下のような定義が掲載されています。

Webのソーシャル化や実空間での様々な行動センシングが進行している現在,人々の自発的な情報行動やコミュニケーションなどの詳細はデジタルに記録・蓄積されるようになりました.このような大規模社会データを情報技術によって取得・処理し,分析・モデル化して,人間行動や社会現象を定量的・理論的に理解しようとする学問が「計算社会科学」 (Computational Social Science)です.

計算社会科学はその目的の達成の方法論として,大規模社会データ分析研究,社会シミュレーションによる理論的研究,バーチャルラボによる実験的研究などを用いています.

「計算社会科学とは」https://css-japan.com/about/

私たちの生活をはじめとする諸活動の大部分がインターネット上で遂行されるようになったと同時に、その履歴が膨大なデータとして蓄積され活用可能になった現在、人間のふるまいの分析も、定量的なデータの読み解きによって可能になっていると言えます。
データの映し出す人間の像はしばしば残酷に思えるほど生々しくもありますが(「なんか、人間って所詮……」)、そこには私たちの素朴な実感や信念を裏切るものもあり、そこから学べることはやはり多いように思います。

素数量子さんは計算社会科学の中でもとりわけ「進化ゲーム理論」の研究に取り組んでおられるとのこと。
ごく大まかに言えば、どのような戦略に則ってふるまう個体や群れ(プレイヤー)がどのような条件下において生存し繁栄するのかを、継時的なシミュレーションを行うことで分析していく研究だと言えそうです。
素数量子さんはその中でも、「評判」によって最適な戦略というものがどう変わってくるかをシミュレーションを用いて研究されているそうです。
確かに私たちには「他人からどう見られているか」を意識しながら自らの身の振り方を決めているところが多分にあるように思われます。
このように、現実の生き物のあり方から抽出した行動原則のようなものをシミュレーションのプレイヤーに埋め込むことで、生物の進化の実相や人間社会の変化のダイナミズムにより近づきうるというお話は、非常に興味深く思われました。

素数量子さん、あらためて今回はありがとうございました!


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