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中学3年「がんばれ おまえ」【向上心、個性の伸長】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は
中学3年「がんばれ おまえ」【向上心、個性の伸長】の指導案はこうする!
このテーマで教材解説をします。

個性の時代と呼ばれるようになりました。

昔に比べて今の時代の子どもは、本当に個性豊かです。
では、個性とはなんでしょうか。
個性はどうやって見つければいいのでしょうか。

今日は、『個性』について教材解説で考えていきましょう!

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。


1 教材について

A 主として自分自身に関すること
「向上心、個性の伸長」
目標・・・・自己を見つめ、自己の向上を図るとともに、個性を伸ばして充実した生き方を追求すること。

「がんばれ おまえ」(光村図書)

あらすじ

とても自分思いの少年がいた。
入学したばかりの高校の教室で、みんなを笑わせてクラスで一番「おもしろいやつ」だ。

少年は心の中でつぶやく。
「がんばれ おまえ」
「オレ」ではない。「おまえ」だ。

少年は、暗いやつと呼ばれて、ひどいいじめに遭っていた。
高校に入学するときに、「おもしろいやつ」になろうと決意した。
全ては、お芝居・計算してやっていること。

「バカだなあ」と言われたり、ウケなくても、「おまえ」の責任であって「オレ」は無関係。

少年は同級生の少女を好きになった。
「ああいうおもしろいひと、大好き」と言っていたらしい。

好きな女の子には「オレ」のことを知ってほしい。
クヨクヨするし、顔色をうかがうし、そんな「暗いやつ」を彼女は好きになってくれるのだろうか。

鏡の中の自分を見つめる。
おまえ、どっち?
オレ、どっち?

鏡の中で「オレ」と「おまえ」が入り混じった。
がんばれー。おれたち。

2 内容項目と教材

教材を見てみます。
「オレ」は、引っ込み思案で、以前はいじめに遭っていました。
・いろんなことにクヨクヨ
・人の顔色をうかがう
と後ろ向きな言葉が並んでいます。

では、ここで発問が1つ出てきます。
「引っ込み思案の「オレ」は、悪い子なのでしょうか?」

どう思いますか?
授業者が考えをもった上で、子どもたちと考えてみたいですね。

また、「オレ」はそんな自分を脱却しようと、
「おまえ」に高校デビューを決意させます。
そして、「クラスで一番の面白いやつ」の座を射止めます。

物語として読むと、とてもいい話ですね。
しかし、教材として考えると、必ずしも「いい話」とは言えません。
あえて批判的な思考で読むことで、子どもが考える切り口や糸口を見つけることができるのです。

では、仮にこのように考えてみましょう。
『「おまえ」がクラスで一番のおもしろいやつになった』いう前提がもしもちがったらどうでしょう。

・「おまえ」が決意して頑張っても結局おもしろいやつにはなれなかった。
・「おまえ」よりももっと面白いやつがいた
・「オレ」が「おまえ」を責める、逆に「おまえ」が「オレ」を責める関係になる

かなりブラックな要素が強い視点です。

視点をあえて真面目路線から振り切ることで、
新しい視点の発問が生まれます。
そんな振り切った視点から出た発問は、
子どもの思考を活性化させます。

では、どんな発問が考えられるでしょうか。

・「おまえ」が頑張って、クラスで一番おもしろい人になれなかったら、意味がないのだろうか。
・「おまえ」よりおもしろいやつがいたら、「おまえ」の存在意義はないのだろうか。
・「オレ」は「おまえ」に責任転嫁しているのではないか。

このような発問が考えられます。
子どもはどんなことを言ってくるでしょうね。
聞いてみたくなりませんか?

また、さらに視点を変えてみましょう。

今度は「おまえ」です。

「おまえ」は、みんなから「おもしろいやつ」と認められています。
しかし、「おまえ」の姿は、本来の姿ではありません。

・おもしろいやつく
・明るいやつ
・陽気なやつ

これらの「おまえ」の姿は実は、本当の姿ではないのです。

では、こんな発問が思い浮かびます。

「おまえ」の目標はなんだろう。

「おまえ」のよさは、「やらされてやっている」ものです。
決して、笑わせることが好きな性分で、好きでやっているわけではありません。

教材に書かれていないので真実はわかりません。
本当に「おまえ」に人を笑わせる素質があったのかもしれないし、
反対に、「どっとつかれる」ぐらいですから、本当に好きではないし、得意ではないことなのかもしれません。

つまり、『「おまえ」がみんなの前で気に入られてよかったね。』という結論では不十分だということです。

・長所は自分では気づかない。
・長所は自分ではなく人が気づいてくれるもの。
・長所は、自分では長所と思っていないかもしれない。
という結論が出ます。

また、どんな見方で教材を見たとしても変わらないものがあります。
それは「『おまえ』は「オレ」によって自分の新しい面を発見した」ということです。

「オレ」が「おまえ」に命じて、いいか悪いか、やりたいかやりたくないかは別にして、自分の新しい面を「オレ」に発見してもらったこととイコールであることには変わりません。

「おまえ」はそこから、高校で今までと違う自分になることを決意しました。
ひょっとすると「人を笑わせること」はやったことがないだけで、自分にぴったり合っているかもしれません。
反対に、とても苦手で全然向いていないかもしれません。

でも、「やってみる」というチャンスと勇気を「オレ」がくれたのです。

人の長所というのは、この教材が象徴的なもので、
「人からほめられて気づく」ものです。
きっと大人ならだれしも、
「1度は人にほめられたこと」を頑張った経験があることでしょう。

自分は主観的にしか見れません。
でも人のことは客観的に見ることができます。

同じように、人は自分のことを客観的に見ているので、

自分の気づかない長所や短所を発見してくれるのです。

発見しても、伝えるか伝えないかはその人次第だし、長所だと教えられて伸ばそうとするか伸ばさないかも、自分次第です。

しかし、「人によって新しい自分を発見する」ということは、
いつも日常生活で起こっているのです。
ここが、「個性の伸長」の本質です。

人に本当のことを言われて、怒ることもできるし、
受け止めて考えることもできる。
自分を素直に見つめて改善することもできる。

今回の教材「がんばれ おまえ」の「オレ」は
「チャレンジする」という選択をしたのです。
だから、いい話のように見えるんですね。

でも最初に言ったとおり、これは物語ではなく教材です。
批判的な見方をして、裏を読んでいきましょう。


3 導入

T:教師 C:子ども

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