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きし とうか (小説&写真)
2014年12月24日 12:04
「今日はまた一段と冷え込むな」 スコップを持った初老の男が、雪かきの手を止めて呟いた。犬を連れて散歩していた親子が男性の顔を見ながら頷く。 空を見上げると、青い空に鈍く歪む太陽が光っていた。「ちったあ、あったかくなって溶けてくれりゃいいんだが」「この街の雪が溶けたことなんて、これまで一度もないですからねえ」 そう女性が呟いたあと、一陣の風が吹いた。折から積もっていた雪が高く空まで舞い上が