2022_0127_本読み

1月27日(木)は以下を読みました。

山崎
『しゃぼん玉 その黒い膜の秘密』立花太郎 著、中央公論社、1974年刊
6 水面上の薄膜
ポッケルス嬢の手紙 レイリーによる単分子膜の仮説

ポッケルスは、ドイツの〈ふつうの女学校を出ただけの〉主婦。体の弱い家族の面倒をみながら、生来の理科好きが高じて、レイリーもおどろく身近なものを使った素晴らしいアイデアで、膜の研究をしました。台所で。

レイリーに手紙を書いて、それが賞賛され、翻訳されて『ネイチャー』(1891年3月12日号。この時代からネイチャーってあるんですね!)に載りました。

晩年は学会にも認められ、

〈幸福な日々を送っていたが、1935年、七十三歳をもって世を去った。〉

とありました。第一次大戦を生き抜いて、大変だったろうなとかナチスが政権を取ったのが1933年だから、この時期はまだ社会情勢は逼迫はしてなかったんだろうな、とかいろいろ思いました。

ウィキペディアで見ると、本文にも書いてありましたが、弟が著名な物理学者で、その薦めで、レイリーに手紙を書いたのでした。



はやしさん
『からすのパンやさん』
加古里子 作、偕成社

すごく馴染みの本なのですが、読んでいただいたら、これは読んだことは無かったんだ!と気づいた山崎でした。

面白かったです。からすのこどもたちの色が、黒じゃなくて、おもち、りんご、チョコ、レモン、の色だという発想が、考えられないなぁ、と思いました。それに、そもそも、どうしてからすが「パンやさん」なの?



めいさん
『節英のすすめ』
木村護郎クリストフ 著、萬書房、
通翻訳は使い得
(3135〜3152/3674)

通翻訳の有効さを表すものとして、EU(ヨーロッパ連合)が挙げられていました。数千人規模の通翻訳の人員を抱えてるとのことで、24の公用語を持つEUの事務費の四割が言語関連費用、とのことです。

全部英語でやれば安いのでは、という批判に対して、

〈EUのウェブサイトによると、EU市民一人あたりで考えると通翻訳費用はわずか年2ユーロほど〉

とのこと。この部分、この本の初版では3ユーロとなっていました。また、EU全体に対してのEU市民一人あたりの年間負担額は350ユーロ(2020年)くらいみたいです。



きよもとさん
『家守綺譚 』梨木 香歩  著 、新潮社
以下、文庫版だけにある、
烏蘞苺記(やぶがらしのき) 
解説(吉井伸子 文)

ヤブガラシ(山崎は習慣的に「やぶからし」と呼んでしまってます)のこういう漢字表記は知らなかったです。「蘞」っていう字だけでもこの植物を表します。

これ、山崎はとても親しんでる草です。作品に使ったこともあります。蔓草ってなにか生命感を感じますから。

「蘞」の字にはえぐいという意味もあります。

また、この植物はブドウ科ですので、本文最後の「葡萄」と「同じだけれども真逆だよ」というように呼応する関係も込められているな、と想像しました。

えぐくて、役にたたず、薮ですら枯らしてしまう蔓草。

「解説」には同著者の『春になったら苺を摘みに』がとてもお薦めされていて『西の魔女が死んだ』などの書名もありました。山崎全く読んでないのですが、広大な物語世界を内部に持ってる作家なのだろうな、と想像しました。

これで完全に読了です。

きよもとさん、ありがとうございました。



山崎
『芭蕉連句集』岩波文庫、
二二 水仙は(春と龝)78〜80ページ

発句の注に水仙の季は冬とありました。二句目つまり脇句には歳旦(=元旦)という語が使われているので、歌仙季題配置表によると、発句が新年なのでしょう。第三句の猫の鳴き声が、春、というのもわかる気がします。

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