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10月13日

 この「とある新聞連載という名の日記」を書き始めて早1週間。案外、苦なくつづけることができている。苦なくというよりも、むしろこれがあることによって生活のペースをつかめているところがあるかもしれない。

 わたしにとって文章を書くことは深呼吸にも似て、一文字書き進めるごとにまわりがしんとして冴えわたってゆく感覚がある。自分のうちにあるものを出して、並べて、もう一度手に取りじっと見つめたあとで並べ直す。誰に頼まれたわけでもない、それをしないと自分が落ち着かない、我が身のための言葉たち。それでもこれがなんの結果を生まなくてもいいと思っているわけではない。

 願わくば、と心の底から思っている。しかし思うようにことが運ばなくても、この先、筆を置くことはないだろう。早くもこの日課は習慣になりつつあり、また、すぐに陽の目を見なくとも地道にこつこつつづけるしぶとさにおいては折り紙つきなものでして。

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