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つながりの強制に抗す

2023年12月24日
 この数日ずっと取り組んでいる原稿があるが、書き直してばかりで少しも進まない。毎月締切のある短い原稿を書く時もいつもなかなか書けない。もう今月は無理と諦めた頃から少しずつ形になってくるのだが。
『青春の記録』(청춘기록)というドラマには、モデルから俳優に転身するサ・ヘジュンをパク・ボゴムが演じている。彼は親の援助やコネに頼らず、瞬く間にスターダムに躍り出たが、仕事が忙しく好きな人とも思うように会えなくなり、結局、別れることになる。恋人のアン・ジョンハ(パク・ソダム)は彼にこういう。
「私たちはタイミングが合わない。合わないタイミングを互いに合わせようと努力しても、結局、遠く離れてしまう」
 タイミングというのは、ただ約束をしても会えないというようなことだけではないだろう。私なら夢を叶えられなくても、好きな人と人目を憚らず会いたい時にいつでも会える人生を選ぶだろうと思った。働かなければ生活できないが、幸福まで手放して成功しても意味があるとは思わない。
 夢の実現のために幸福を手放すということでなくても、いわば生活を人質に取られていると、上司に理不尽なことを命じられても逆らうのが難しいことがある。
 ある作家は大学ではフランス文学を専攻したが入社したテレビ局でくだらないことをやらされ、一体自分は何をしているのだと思って(すぐにではないが)退職、後に医学部に入って精神科医になった。なかなかできないことだろう。
 もうずいぶん前のことだが、自社で販売している食品を訪問販売している若い人がやってきたことがあった。こんなことはしたくないとはいえなかったのだろう。私は彼が気の毒になって買ったりしなかった。当時、私の家には犬(シェパード)がいた。大きな犬が玄関まで出てきたのを見て動転した彼は、するめかイカだったと思うが床に投げ出して帰っていった。
 最近出版した『つながらない覚悟』の中では、「つながりの強制」という言葉で説明した。

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