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【大人の映画】イノセンス〜レビュー with Follow Me - 伊藤君子

与えることで、あなたは孤独の淵に橋を掛けているのだ。

サン=テグジュペリ

公開:2004年
監督:押井守

 和と中華が混じり合った映像と音が美しい。
美しいけれど綺麗じゃない。埃っぽくて寂れて廃れて、街も人もみんなくたびれている。

 少ないセリフは独特の間があり、説明的なものを省略しているうえに引用ばかりで難解極まる。

 でもストーリーは単純だ。

 ガイノイド(いわゆるアンドロイドのこと)の暴走事件の原因を突き止める公安9課の物語が中心であり、それに比べて敵方の描写は乏しいから、どんな敵でどういう動機だったのか、わたしは5回見たけれど記憶に残らない。きっとそんな些細な事はどうでもいいのだ。

 本作品は近未来SFである攻殻機動隊シリーズの劇場版の2作目で、連続ドラマの「スタンド・アローン・コンプレックス」シリーズとはストーリーがまるで違う。

 前作のラストでインターネット世界と融合した草薙素子(少佐)はほとんど登場せず、だから描かれるのは公安9課のおじさんたちばかり。

 この映画の主人公は寡黙なアンドロイドのバトーおじさんだからセリフが少ないし、それが元々難しい攻殻機動隊ネタをさらに難解にしている。

◎攻殻機動隊ネタとは
全身がサイボーグで脳みそまで電脳ならGHOST(魂)はどこにある?そんな身体に魂が宿るなら機械と人間の違いは?っていうテーマが根底にある。

 でも…口に出さずとも、それを言葉にしなくても、バトーの少佐への気持ちはわかる。愛とか友情とか、そんな単純なものじゃない。

 だから、エンディングで流れる"FollowMe"が切なく胸を突く。

Follow Me - 伊藤君子



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