鏡に映る私は私だけど私じゃない。左右が反転しているから、ありのままの私を見せてくれるわけじゃない。
ベッドのそばの壁に、横に長い鏡があった。シーツの上に横たわると、頭からつま先までが映る長さ。横に長くても幅は30センチほどしかない。だから横たわっていないと映らない。
横に長い鏡の中に女が映っている。白いシーツの上に横たわった白い肌。その白い肌に鏡の中のあなたの手が触れる。私はそれを見ていた。落ちてきた髪をかき上げた鏡の中の女が、もの言いたげな目で私を見る。鏡の女の唇が開き、ああ、と小さなため息が甘くとけた。私はそれを、鏡の中の彼女を見ていた。
鏡に映る私は私じゃない。
鏡の中の女は、私よりもいやらしい。
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