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 彼がはしゃぎ過ぎた理由は、久しぶりの飲み会だったせいもある。二次会から三次会のバーへ。酔っぱらった彼がふと気づいたら、時刻はすでに十一時を回っていた。

「やべ。もうこんな時間か。俺、帰るわ」
「私も。お先に」

 一緒にいた同僚たちが慌ただしく、まるでさあっと潮が引くように一斉に帰ってしまった。

 俊介(しゅんすけ)も急に白けた気分になる。彼を含め、残った面子めんつもだらだらと帰る支度を始めた。

 バーを出るとさらに人がいなくなった。残ったのは彼と木野優紀きのゆきだけだ。彼女は彼と同じ大学のOBでもある。

「どうしましょうか先輩」
「わたしはもう少し飲みたいかな」
「そうですか」
「佐野くんはどうする?もう帰る?」

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