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R18短編集(オリジナル)

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読み切りのエロティックな作品を集めました。順次追加していきます。(2024.1.5現在)
バラバラに購入するよりもお得です。
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記事一覧

【R18】歌姫の選択 Ⅰ 青春の女神〜瀬里奈

 何処とも知れぬ場所に在る"キャバレー・ヘル・パラダイス"  広いホールには大きな丸テーブルが並び、高い天井からはきらびやかな巨大なシャンデリアが下がっている。  そこに寛ぐタキシードやイブニングドレスに身を包んだ紳士と淑女。  流麗なストリングスを奏でるオーケストラをバックに妖艶な歌姫が気だるげに歌うジャズナンバーの数々。  ハスキーな声が歌うのは誰も聴いたことのないナンバーだった。

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【R18短編小説】百合の夜

Ⅰ  電話が切れたあとは、せっかくのひとりきりの時間を楽しむ気が失せてしまった。会計を済ませ、バーを出る。  結局、友人には電話できなかった。時間が遅くなってしまったせいもある。何を話そうかと余計なことを考えてしまい、気後れしてしまったのもある。  大通りまで戻り、タクシーを捕まえて自宅のあるマンションに帰ってきた。  麻里恵には部屋の鍵を渡してあった。そのマリエは電話で言っていたとおり、わたしを待っていた。ベッドの上に横たわり、一糸纏わぬ熱い体と燃える心を抱えて…。

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【R18掌編小説】薔薇陵辱〜ダマスクの褥できみを抱く

「良い香りでしょう。ほら…」  鼻に触れんばかり差し出された一輪のバラ。クリムゾンの花びらが幾重にもなった中心に小さな金色の蕊が見えた。重さが感じられるほどの甘く濃密な香りが僕の体内に容赦なく侵入してくる。 「官能的なダマスクの香り…」 「ダマスク?」  思わず、おうむ返しにきみの言葉を繰り返した。長いまつ毛を伏せたきみが、 「この香りを纏い耽溺しながらセックスしたいわ…」  うっとりした気だるげな声で僕を誘う。だから僕は、白くか細い指からバラを奪い、ちぎったその濃

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【R18掌編小説】花と茎

「…いい?」  美紅の濡れた唇がささやいた。甘い声だ。甘くて柔らかい。まるで、霧雨が舞い降りた誰もいない夜の道路のように、しっとり湿っている。  仰向けに横たわり、彼は天井を見上げていた。シンプルすぎるLED照明は一人住まいの若い女性の部屋にしては味気ない。カーテンと布団カバーは薄いピンク色。カバーは可愛らしいチェック柄。二人が抱き合っているベッドは、二人で抱き合ってセックスするには少々狭い。 「ねえ…いい…?」 「ああ…」  いちいち聞かなくても、と思いつつ、彼は低

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【淫らな詩】赤い館

【R18短編小説】ハロウィーン・ワンナイトラブ

 目が覚めると知らない部屋にいた。広いベッドの上にいる。どうやらラブホテルのようだ。昨日の酒が残っているらしい。まだ頭がフラフラした。  横を見ると女がいた。むこうを向いて眠っている。誰だ。誰なんだ。  …ああ、頭がいてえ。  昨夜はハロウィーンだった。俺はドラキュラのコスプレをして仲間と一緒に街に繰り出した。魔女のコスプレをした女たちをナンパし、どこかの店で酒を飲んで騒いだところまでは覚えている。

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【R18官能ホラー小説】きみが還る夏

「ただいま帰りました。わたしです」  玄関でか細い声がした。壁に掛かっているカレンダーを見る。そうだ。去年と、その前の夏も全く同じ日だった。  夏が逝く頃。暑かった夏が終わろうとしている。  なぜ驚くのだろう。忘れた振りをしているだけということは自分でもわかっているはずなのに。  来客用のチャイムが鳴る音も、鍵の掛かったドアが開く音もしなかった。でも確かにきみの声だった。愛しいきみの…優しい声。  震える膝を押さえて玄関に行ったら、花柄のサマードレスを着たきみが立っ

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【短編小説】今夜はあなたと

 彼がはしゃぎ過ぎた理由は、久しぶりの飲み会だったせいもある。二次会から三次会のバーへ。酔っぱらった彼がふと気づいたら、時刻はすでに十一時を回っていた。 「やべ。もうこんな時間か。俺、帰るわ」 「私も。お先に」  一緒にいた同僚たちが慌ただしく、まるでさあっと潮が引くように一斉に帰ってしまった。  俊介(しゅんすけ)も急に白けた気分になる。彼を含め、残った面子もだらだらと帰る支度を始めた。  バーを出るとさらに人がいなくなった。残ったのは彼と木野優紀だけだ。彼女は彼と

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【R18官能小説】蜜と指

 つい数日前まで真夏のような陽気だったのに、彼岸が過ぎたら急に涼しくなった。朝晩は肌寒いほどだ。  このところ晴れの日が続いている。日なたにいてもそれほど暑くない。こうして自転車を漕いで坂道を登っていても、汗まみれにはならない。  この短い坂道の先に、叔父さん夫婦が住む家がある。車がやっとすれ違えるぐらいの道幅で、車も歩いている人も見たことがない。道の両側に夏草が生い茂るのどかな田舎道といった風情だ。  道に沿うように赤い花がたくさん咲いていた。毎年のこの時期になると唐

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