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【こんな映画でした】635.[魅せられて]

2022年12月 5日 (月曜) [魅せられて](1996年 STEALING BEAUTY アメリカ/イギリス/イタリア/フランス 118分)

 ベルナルド・ベルトルッチ監督作品。主人公ルーシー役にリヴ・タイラー(撮影当時19歳、役柄と同じ。初めて)。ちょっと見では、どこが魅力的なのか分からない。しかし映画というものは不思議なもので、見慣れてくると美しく見える。何ともいえない魅力を放つようになるのだ。

 原題からすれば、まさにこの「美」は、ルーシーの美しさということだろう。その彼女の「美」を誰が盗む・獲得するか、といったことなのだろうか。何人もの男性が、このルーシーに絡んでくる。

 一人は実の父親だと最後に分かる。もう一人は最初、父親かとルーシーは思ったようだが違っていた。しかし、死を目前にした人間に何らかの感情をルーシーは持ったようだ。さらに一人父親に該当しそうな男性がいたが、話をすると論外だと分かる。あと若い男が何人か絡むが、最終的にラブレターの書き手と初めての経験をすることになって映画は終わる。

 まだ若い彼女からしたら、成長の一過程としての男性との交際ということだろう。母親がルーシーを身ごもった1975年の夏同様に、今そうすることによりルーシーも身ごもるかもしれないとの思いもあったと思うが、それを振り切って結ばれるということに。

 見かけによらず真面目な映画であり、ある種哲学的でもあるだろう。現代的な男女間の愛情というものの一考察、といったところの映画かもしれない。

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