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【こんな映画でした】139.[シザーハンズ]

2019年12月 4日 (水曜) [シザーハンズ](1990年 EDWARD SCISSORHANDS アメリカ 105分)

 これは失敗だった。映画がではなく、この映画を観てこなかったことが。一度観る機会があったが何か合わなくて、もう観なくていい映画のリストの中に放り込んでしまっていた。こんな映画だと知っていたら高校在職中きちんと観て、授業にも使えたなと後悔することとなった。

 アメリカ映画なのに安直なハッピーエンドになってなくて、その点はまるでヨーロッパ映画のようである。監督のティム・バートンが気に入っていた小説『フランケンシュタイン』が、イギリスの小説家メアリー・シェリーによるもののせいでもあるか。

 ダイアン・ウィースト([カイロの紫のバラ](1985)を観ている)が演じる一家の母ペグのような人はなかなかいないだろう。その娘キム(ウィノナ・ライダー、撮影当時18歳くらいか)も、はじめは怪訝な顔をしている。

 異質なものに対する一般の人々の思考の、移ろいやすさや恐ろしさが見事に描き出されている。偏見を持たず、慈愛の思いで接することのできる人は少ない。上手くいっているときは賛嘆し、一旦何か問題が起こるとたちまち手のひらを返す。そんな人々をシビアに描いている。

 この映画は『「こどもと映画」を考える 13才までに見せたい名作映画50ガイド』(キネマ旬報社 2012年)にも紹介されていた。

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