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【こんな映画でした】580.[忘れられた人々]

2020年10月12日 (月曜) [忘れられた人々](1950年 LOS OLVIDADOS THE YOUNG AND THE DAMNED メキシコ 81分)

 ルイス・ブニュエル監督作品。フーム、と。悪人、あるいは悪い人間というものを描いているのだろうか。はたまた悪い社会があるから、そのような悪い人間が生まれてくるのか。であるなら、こんな社会では生まれる前に死んでしまっている方がいい、という盲目の男性のセリフが効いてくる。次のように言う。

「一人減ったぞ(ハイボが警官に射殺されたこと)。こうしてみんな消える。みんな生まれる前に殺せばよかったんだ」。

 母親はエステラ・インダ、撮影当時33歳。子どもを愛せない母親を演じている。もっともペドロ以外の子どもは愛している。それがなぜかは、お終いの方に出てくる。

 典型的なワルとして出てくるハイボは、ロベルト・コボ、撮影当時20歳。プロダンサーということで格好いい。もっとも、それだからより強烈に悪を表現できていると言える。別の言い方をするなら、彼ら不良仲間たちの中で最も不幸な人間とも言える。彼が死ぬ時に次のようなナレーションが入る。
「俺は一人きりだ。一人きりだ。いつも一人よ、いつも」

 実の母親の顔も、いわんや父親の顔も知らないという境遇なのだ。そのように盗みを働いてしか、生きていけなかったということだろう。悲惨である。そしてそんな彼と行動を共にしていたペドロは、ついにその犠牲になってしまう。世の中は、えてしてそのようなものだろう。

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