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【こんな映画でした】393.[パリは燃えているか]

2022年 4月 5日 (火曜) [パリは燃えているか](1966年 PARIS BRULE-T-IL? IS PARIS BURNING? フランス/アメリカ 173分)

 ルネ・クレマン監督作品。駄作。ひたすら長いだけ。大いに期待していたのに、何たる作品であることか。この邦題(と映画音楽)に惹かれて、いつかは観たいと思っていたのに、開けてビックリであった。[禁じられた遊び]に代表される監督なのに、今作はダメだ。もっとスリリングなものを期待していたのに、羊頭狗肉であった。

 俳優陣は凄いといえば凄いのだ。まさしくオールスターキャストというやつだ。にもかかわらず中味がない。所詮は、パリのドイツ軍を追いだして万歳・万歳というだけの映画。戦争スペクタルは、この監督には向いてなかったのかもしれない。単に担がれただけで。しっとりした味わいも、人間味もヒューマニズムも感じられない。ドイツ憎し、で一致して作られたのだろう。

 俳優陣は観ていて、エエーッと思うような人たちが出てきている。この手の映画だし、この監督だし、出演拒否はできなかったのかもしれない。リストアップしてみると。ジャン=ポール・ベルモンド、シャルル・ボワイエ、アラン・ドロン、カーク・ダグラス、オーソン・ウェルズ、シモーヌ・シニョレ、ジョージ・チャキリス、イヴ・モンタン、アンソニー・パーキンス、ロバート・スタック。

 私が気がついた範囲でいえば、最も出番の多かったのはオーソン・ウェルズで、次いでアラン・ドロンとロバート・スタック。あとはみんなチョイ役である。イヴ・モンタンなどすぐ撃ち殺されている。
 良かったのは、モーリス・ジャールの音楽。当時の記録フィルムも多用している。

 そもそも論で言うなら、あの四年以上にわたるドイツ軍による占領を許したフランス政府の責任だ。国民に塗炭の苦しみを嘗めさせることになったのは何故か。どこに問題があったかの。私はそれが気になる。そこをほっておいてパリ解放だけを喜んでいるなど、フランス国民は馬鹿なのかと思ってしまう。

 連合軍もあまりにも政治的である。あわよくばドイツにソ連を叩かせて、そのあとでドイツをやっつけようと考えていたのだろう。それにしてもヨーロッパの西部戦線というか、フランス・ベルギー・オランダなどの国々はどうして斯くも簡単に侵略されてしまったかが、私には不可解だ。ドイツの再軍備開始も軍備増強もすべて分かっていたはずなのに、なんら準備をしてこなかったのだろうか。第一次世界大戦の結果からして、次の世界大戦へのタネは蒔かれていたわけなので、どうしてそのための準備をしなかったのかが不可解だ。侵攻される前にどれだけ手を打っていたのか。特にここではフランスがだが。理解できない。

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