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【こんな映画でした】553.[手紙は憶えている]

2020年 4月13日 (月曜) [手紙は憶えている](2015年 REMEMBER カナダ/ドイツ 94分)

 何とも凄まじい。ユダヤ人のナチスに対する怨念は、その時から70年を経てもなお強烈にあり、ついに何とも無惨な結末を招来する。老人ホームにやって来たゼブが、アウシュビッツで仲間だったと誤認させられ、そこでの虐殺の当事者二人を罰するために利用されるのだ(これはネタバレすると意味がないので、書かない)。

 何とも巧妙な、言い方は悪いがずる賢いやり口である。信頼させて裏切っていく。そのやり口は人間として卑劣であり、それでは形は違えどナチスのやったことと変わりはないことになる。もちろんユダヤ人は否定するだろうが。

 85歳のクリストファー・プラマーが何とも凄まじい役を演じている。あの[サウンド・オブ・ミュージック]の面影はない。ただラストシーンでその頃の若い彼の顔写真が映し出されている。また彼は作中、ピアノを自ら弾いている。メンデルスゾーンとワグナーのピアノ曲の2曲。

 監督のアトム・エゴヤンは、初めて。

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